週末、Maker Faire の勧進元であり、雑誌 Make の版元である Maker Madia が22名の全従業員を解雇し、すべての業務を停止したニュースがかけめぐった。
ベイエリアの Maker Faire が資金面の問題で今年が最後になるらしいという話は高須正和さんの Medium で読んでいたが、正直、へー、苦しいんだと思ったくらいで、Maker Madia 自体が業務停止するなんてまったく考えもしなかった。
創業者であり CEO の Dale Dougherty は、何らかの形での復活を諦めていないとのことだが、少なくとも雑誌は終わりだろうし、8月の Maker Faire Tokyo 2019 には影響はないと願いたいが、今後の各地での Maker Faire 開催にも当然ながら影響が出てくるだろう。おいおい Make: Japan などにおいて、そのあたりに関するアナウンスも出ると思う。
ワタシ自身はメイカーではないが、『Make: Technology on Your Time』日本版には翻訳者としてずっと携わり、先月の Maker Faire Kyoto 2019 が実はかなり久しぶりではあったが、日本の Maker イベントにもこれまで何度も足を運んできた。そうした人間として、やはり残念に思うのは間違いない。
ワタシが「メイカームーブメントの幼年期の終わり」と書いたのは3年前だが、まだメイカームーブメントにはのびしろがあると思っている。
上にも書いたようにワタシ自身はメイカーではなく、「インサイダー」ではないので詳しい事情は分からない。だから、何か知ったようなことは書けない。かつて雑誌 Make の Editorial Director だった Gareth Branwyn が寄稿している文章から少しだけ訳して、とりあえず気持ちの整理をつけたい。
『Make:』や Maker Faire で関わったほとんど全員を代表して、これまでやった仕事の中で、あれがもっとも創造的で、満足のいく、やりがいのある仕事だったと確信をもっていえる。あれは仕事だった。大変な仕事だった。時に、とてつもなく大変な仕事だった。それでもあれを「現実の」仕事みたいに感じたことはほとんどない。いつだって、世界に素晴らしいシュートを放つような感じだったんだ。
今明らかな問題は、「社内報」とコミュニティの年次集会を失って、メイカームーブメントはどうなる? ということだ。メイカーの友人である John Graziano と私はこの問題について昨夜メッセージを交わしたのだが、メイカーはハッカーであり、問題解決屋(problem-solvers)なのだと彼は指摘した。メイカーのコミュニティは長寿と繁栄を続けるに違いないと彼は語った。私も彼が正しいと願っている。なぜなら、今ほどイノベーション、魔法、斬新性、古き良きマッドマックスのサバイバルスキルが重要な時はおそらくないのだから。
Make: Tips and Tales from the Workshop: A Handy Reference for Makers (Make: Technology on Your Time)
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[2019年6月10日追記]:Make: Japan | Maker Media社の現状とMaker Faire Tokyo 2019について
[2019年6月11日追記]:Makeの親会社がスタッフ22人全員レイオフ、運営停止の悲劇 | TechCrunch Japan