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スタンフォード大の3人の教授がビッグテックがどこで間違ったか、どうやって政治が未来を変えられるかを説く『System Error』

新山祐介さんのツイートが目をひいた。

リンク先を見ると、オンラインインタビューを受けている三人が共著者の新刊 System Error: Where Big Tech Went Wrong and How We Can Reboot のプロモーションのようだ。

このインタビューの冒頭、限定された単語数で難しい質問に答える The Last Word というゲーム(この呼び名は一般的に使われるかは知らない)として、10語で新刊の内容を表現するように言われ、共著者の Rob Reich は、以下のように答えている。

ビッグテックにしかるべき規制をして民主主義の制度を再活性化する(Reenergizing democratic institutions through the sensible regulation of Big Tech)

この数年のトレンドである、ビッグテックは民主主義を毀損しているという認識を前提としたビッグテックの規制論ですね。

書籍の公式サイトの宣伝文句を訳すると以下の感じである。

数十年にわたり技術革命の最前線で取り組んできたスタンフォード大の三人の教授たちによる、いかにビッグテックの最適化と効率への執着が基本的な人間の価値を犠牲にしてきたかを明らかにし、我々が方向を転換し、民主主義を取り戻し、我々自身を救うためにできることをまとめた前向きなマニフェスト

もう少し詳しく書くと、テクノロジーは我々を解放する的なナイーブな楽観主義は、偏ったアルゴリズム監視資本主義仕事を奪うロボットといったもののディストピアな強迫観念にあっという間にとってかわっちゃったよね。でも、テクノロジーの進化を受け入れる以外の選択肢って実質ないじゃん? そうして、テクノロジストと彼らに金を与えるベンチャーキャピタリスト、そして連中に自由裁量権を与える政治家にデザインされた未来をただ受け入れているわけだ。でも、それじゃいかんでしょというわけ。

この本は、ビッグテックが差別を強化し、プライバシーを侵害し、労働者を追い出し、情報が汚染された未来を推進するビッグテックに反旗を翻す本ということですね。

著者の Rob Reich は、最近慈善活動に関する記事で名前をみかけて記憶に残っていたが(その1その2)、こういう本を書く人とは思ってなかった。同じく共著者の Mehran Sahami は、スタンフォード大学に来る前は Google で上級科学研究員だったとな。

ビッグテック支配がいかに間違っていたかについての本は既に多く出ており、この手の本では上でもリンクしたショシャナ・ズボフ『監視資本主義』が決定版ともいえるが、結論に具体的に対処する処方箋が書かれていないという批判もあったので、ビッグテック支配に対して政治が何ができるか、どう現状を正せるかをデザインする提言まで踏み込んだ内容なのが重要なんだろう。

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