『Insider's Guide to Cloud Computing』(asin:B0BYHX7LF6)の著書もあるクラウド分野のベテランである David Linthicum が、「企業のクラウド離れ」についての記事を書いている。
最新の調査で、英国の企業の25%が、クラウドベースのワークロードの半分以上をオンプレミスのインフラに戻しているそうな。IT リーダーにした質問への回答を見ると、その大多数がクラウドからオンプレに回帰するプロジェクトに関わったことがあるという。なぜか?
理由には、セキュリティの問題やプロジェクトへの期待の高さが挙げられている。そして、クラウドが「期待に応えられなかった」という回答も多い。予想外のコスト、パフォーマンスの問題、互換性の問題、サービスのダウンタイムも挙げられている。
オンプレ回帰の一番の理由は、やはりコストの問題のようだ。クラウドについては、かつて低コスト、俊敏性、優れたイノベーションを実現すると宣伝されたが、コストは企業の期待に沿わなかったということか。
今でも生成 AI などの新しいシステムの構築しデプロイするのには、クラウドが便利なプラットフォームなのに変わりはない。が、クラウドは、サーバーレス、コンテナ、クラスタリングといった一連のサービスを活用する最新のアプリケーションには適しているが、オンプレ時代と同じようにデータを扱ったり、従来のインフラのパターンを前提とする現実の(最新モードに則らない)エンタープライズのアプリケーションにはコスト高となってしまう。
ただ、だからといってクラウドプロバイダーに同情する必要はないと Linthicum は書く。
そうしたワークロードは、そもそもパブリッククラウド上にあるべきものでなかっただけで、クラウド自体はまだまだ成長が続くから。今やクラウドのカンファレンスは、AI 世代のカンファレンスと化しており、それは数年続くだろうと Linthicum は予測する。つまりは、AI 絡みが今のクラウドプロバイダーのおいしい食い扶持というわけだ。クラウドが使われるべきでない用途から離れ、使われるべき分野で使われるのは健全でしょうね。
ネタ元は Slashdot