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ジョン・ハンケが語るWeb3、ティム・バーナーズ=リーが懐疑的なブロックチェーン

www.techno-edge.net

さきごろ創刊したテクノエッジの最初の目玉コンテンツと言える Niantic のジョン・ハンケのインタビューだが、ワタシは IngressポケモンGOもまったくたしなまないという奇特な人間なので、そちら方面の話題には実は興味がなく、「メタバースはディストピアの悪夢です。より良い現実の構築に焦点を当てましょう。」の話も、まぁ、そうでしょうなという感じだった。

それならなぜこのインタビューを取り上げているのかというと、今月はじめに「Web3の「魂」は何なのか?」という文章を公開したワタシ的には、彼が Web3 についてコメントしているからだ。

彼はまず「わたしにとっては、Web3はすなわちブロックチェーン技術という意味です」と明確に語っており、オレオレ Web3 定義をかますことはないあたりさすがである。

もうひとつは、ウェブを非集権化 / 分散化すること。現在のウェブは、決済やアイデンティフィケーションについてとても集権化しています。App StoreGoogleログイン、Facebookログインのような、ごく少数のサービスに依存する仕組みです。

ブロックチェーン技術で決済を分散化する、つまり暗号通貨を使うのは分かりやすい例ですが、もうひとつ、いわゆるSSI (Self Sovereign Identity、 自己主権型ID)を可能にする使い方もあります。

Niantic創業CEOジョン・ハンケ氏インタビュー:『メタバースは悪夢』の真意とWeb3の可能性(後編) | TechnoEdge テクノエッジ

そしてやはり decentrization なんですよね。これもまた明快であり、ズレてない。そして、以下のくだりが個人的には最も興味深かった。

現在のようにGoogleFacebookなどにログインやアイデンティフィケーションを依存すると、多くの場合は行動履歴が収集・集約されることになり、プライバシーにとって良いとはいえません。現在の集権化したログインの仕組みでは、オンラインの活動を監視したり、履歴を蓄積してどんな人物かプロファイルを作ることができてしまう。SSIを使うことで、ユーザーはどの企業にどの情報を渡すか自分でコントロールできるようになります。

Niantic創業CEOジョン・ハンケ氏インタビュー:『メタバースは悪夢』の真意とWeb3の可能性(後編) | TechnoEdge テクノエッジ

当たり前のこと言ってるだけじゃん、と思われるかもしれないが、ジョン・ハンケはショシャナ・ズボフ『監視資本主義』において、「監視資本主義」の重要人物として糾弾に近い書かれ方をしていて、その彼が行動履歴とプライバシーの関係を語っているのが興味深かった。

ここで『監視資本主義』の書名をジョン・ハンケにぶつけたらさらに貴重なインタビューになったはずだが、日本のジャーナリストにそれができる人はいないか。

thenextweb.com

いっぽうで World Wide Web の発明者ティム・バーナーズ=リーは Web3 をこきおろしている。彼もビッグテックから人々の手にデータを取り戻すというビジョンは共有していて、それは例えば彼の以下の文章を読んでも分かるだろう(と翻訳の宣伝)。

しかし、彼はブロックチェーン技術には懐疑的だ。彼が推す Solid のプラットフォームなら、うまく機能しないブロックチェーンなしでも脱中央集権化したインターネットは可能だよ、というわけ。

ティム・バーナーズ=リーは偉大な発明者だが、近年手がけるものは Solid を含め成功と言えるものはないので、そうした意味では彼の未来予測の精度は高いとは言えないのだけど、加藤和良さんが「Re: Web3の「魂」は何なのか?」で紹介していた、ティム・ブレイ、ミゲル・デ・イカザ、コリィ・ドクトロウ、ブルース・シュナイアーといった錚々たる面々が署名した Letter in Support of Responsible Fintech Policy に彼の立場も近いのだろうな。

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