株式会社となったはてなの東京への事務所移転について知ったとき、それを悲しく思っている自分がいるのに気付き、驚いた。
はてなが京都に留まっていること自体、アイデンティティーの一部なのだろうと勝手に思い込んでいたところがあったようだ。またワタシ自身にとって、京都は独特の思い入れがある土地なので、それがはてなの自分の中でのステータスに影響していたのだろう。
もちろんこれは、株式会社はてなの収益になんら貢献していない1はてなダイアリー無料版利用者の勝手な思い込みに過ぎず、はてなの東京移転が極めて前向きなものであること、そして何よりはてなが企業として健全な収益をあげ、成長することを心から願っている。常々書いているように、ワタシは近藤さんの見識、フットワークの軽さに尊敬の念を持っているし、はてなを応援する気持ちになんら変わりはない。そしてその一方で、はてなダイアリーユーザとしては、今後サービスに満足できない状態が続くようなら(現状は一応満足している)、遠慮なく場を移させてもらうという気持ちも変わりはない。そうした割り切りは保っていたい。
しかし、Moleskin さんも指摘するように、このニュースは、「IT で地方にチャンスとか、地方と中央が平等になる」といった主張が間違っていることを端的に示しているのかもしれない。都市中心部への集積が進む形で都市再開発が進む一方で、優秀な人材の流出もとまらない。日本で人口100万人以上の都市が複数近接する地区となると、関東を除けば、大阪、神戸、京都の関西圏、そして福岡、北九州の福岡圏しかない。後者は論外として、京都からも流出を避けられないとなれば、東京一極集中の流れは強化されこそすれ、弱まることはないということなのだろう。
当方はこの流れを称揚するものではない。しかし、これは好き嫌いではなく、現実の話である。当方は実際には田舎に隠棲しているので、「地方の時代」とやらが来てもらっても一向に構いませんが。
さて、最近京都に関する企業、人に関するニュースについていろいろ思うところがある。これぐらいは書いてもよいと思うが、昨年11月に office さんとお会いした際、刊行間近だった『ウェブログ・ハンドブック』について、当方が京都に赴き、直接本を手渡すというのを口実にはてなに行ってみたい、近藤さんと少しでいいからお話してみたい、そのときは office さんも一緒にどうですか、とまあそうした与太話をしたことがあった。
実際には12月になって仕事が多忙を極めそれどころではなくなったのだが、もうそうしたことはできなくなるわけだ。少なくとも京都では。