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夫たち、妻たち

これはウディ・アレンの最高傑作じゃないだろうか。

ニューヨークに住む二組のインテリの中年夫妻が織り成すミッドライフクライシスと恋愛ドラマと書くとまたかと思われるだろうし、それよりも本作を最後にミア・ファローと袂を分かったという私生活でのスキャンダルのほうに目がいきがちだが、図らずもファローとのコンビの頂点の出来となっている。

本作はドキュメンタリー風の構成になっており、しかし別にそれが徹底しているわけでもないのが少しズルいのだけど、そのズルさをうまく使って登場人物の心理を暴いている。不安定に動き回るカメラも本作にぴったり。

ワタシは本作を観て、なぜかスタンリー・キューブリックのことを連想した。彼の遺作『アイズ・ワイド・シャット』(asin:B000IU4MZ6)と同じくシドニー・ポラックが重要な脇役を演じているからというのもある。ただ本作のドキュメンタリー風の突き放した描き方に、キューブリックは『アイズ・ワイド・シャット』でやりたかったのは、(もちろん作風はまったく違うけど)実は本作の感触に近かったのではないかと思った。

また本作はキャスティングが良くて、前述のポラックは『アイズ・ワイド・シャット』同様堂々たる存在感を示しているし(この人、監督より役者の才能のほうがあるんじゃないか?)、ジュディ・デイヴィスのババアぶりもすごい。この人に関しては、イーストウッド『目撃』のときにも因業ババアぶりに驚いたが、こうしてみるとクローネンバーグの『裸のランチ』が例外だったのだろうか。そして、ワタシが大好きなジュリエット・ルイスがタクシーの中の場面で見事な毒を放っていてこれまた良し。

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