1989年から2004年まで15年間読者だったロキノンの過去記事を引っ張り出す企画「ロック問はず語り」を久しぶりに。
TBS RADIO 文化系トークラジオ Life の先月の放送のテーマが「親子関係」で、それを聞いていて、仲俣暁生(id:solar)さんからの連想だろうが、ジョー・ストラマーのインタビュー(rockin' on 1992年5月号)を思い出した。
このインタビューは、彼がアルコールでズタボロになって離脱した Shane MacGowan の代役としてポーグスの来日公演に参加したときのものである。本格的な活動再開を望む岩見吉朗に対し、クラッシュ再結成のオファー金額のでかさに気持ちがなびいた話を含め、虚勢を張ることなく正直に自分にとって今一番重要なものを素直に語っている。
でも俺の場合……そう、今はどうしても子供に対しての配慮の方が強いんだ。父親としてのウェイトのほうが大き過ぎるんだよね。人間やっぱり、二つに一つのことしかできないんじゃないかと思う。野心を追究するか、他のものを取るか、っていう。やろうと思えば、過去10年ツアーし続けて、今よりもっと有名になってることもできたと思うよ。でも、俺には名声なんかどうでもいいし、子供達のほうがよっぽど大切なんだ。
「あと8年ぐらいは良き父親でいたい」と彼は繰り返す。しかし、彼はただ枯れてしまったのではなく、音楽への情熱は変わってなかった。
●そういうあなたの発言を聞くと心強くなりますが、そうしたエネルギーが再び音楽に反映される日はいつになるんでしょう?
「さっきも言った通り、8年ぐらいしたらだね。それまでに自分の調子をバッチリ整えていくつもりだよ。これは俺の、非常に長期的なプランなんだ(後略)」
正直言うと、このインタビューを読んだ10代のワタシは、ジョー・ストラマーの言葉を鼻で笑った。8年後って先の話過ぎるじゃん。その頃50絡みになるオッサンに何ができるよ、と。
もちろん間違っていたのはワタシである。彼は上の言葉通り8年後にはちゃんと戻ってきた。ザ・メスカレロスを率い、2001年には『Global a Go-Go』、2003年には『Streetcore』という力作を生み出している。
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さらに恥を忍んで書くなら、ワタシがこのアルバムを聴いたのは、2002年のジョー・ストラマーの死があったからだ。それがあってようやく彼の近作を聴き、かつて彼の言葉を笑った自分はなんてバカなんだろうとうなだれた。
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