少し前に『ビバリーヒルズ高校白書(ビバリーヒルズ青春白書)』のオリジナルキャストでの新番組がアナウンスされ、幸か不幸か、主要キャストを務める『リバーデイル』が成功しているルーク・ペリーは不参加かもと言われ、一方で今年公開されるクエンティン・タランティーノにも出演することでまた彼のキャリアに光が当たると思われたところでの早すぎる死をとても悲しく思う。
『ビバリーヒルズ高校白書』については昔書いたことがあるが、アメリカのテレビドラマのシステムを知る意味でもワタシにとって実は大きな存在だった。リアルタイムで最初から見ていたわけではないし、最終シーズンはほぼ見ていないのだけど、よく再放送してくれた NHK には感謝しなきゃいかんのだろう。
昨年、『ツイン・ピークス』の新シリーズを DVD レンタルして観ていてふと思い当たったのだが、『ビバリーヒルズ高校白書』と『ツイン・ピークス』は同じ1990年開始なんだね。
この二つのドラマを並べて批評する人はいないだろう。ワタシにしても、それをするつもりはない。それでも、この二つが同時代の作品であることは動かしようがない事実なのである。さらに言えば、1990年に高校2年生だったワタシは、この二つのドラマの高校生の登場人物と設定上は同年代ということになる。この感覚は伝えるのが難しいのだが、それは忘れてはいけない感覚である。
ルーク・ペリーがそうであるように、実際に演じていた人たちはワタシよりも明らかに年長だったりするのだが、それでもドナ役のトリ・スペリングとデビッド役のブライアン・オースティン・グリーンは、ワタシと同年生まれだったりする。
『ビバリーヒルズ高校白書』の登場人物たちは、高校生の分際で教師よりもいい車を乗り回すような金持ちだったりしてワタシなどまったく縁がない生活を送っているのだが、そこらへん不思議なのだが自分とはまったく別と割り切れるようで、ワタシはほとんど抵抗なく楽しんでいた。
ワタシとまったく別の世界を生きるというのでは、『ツイン・ピークス』も別の意味でそうなのだが、実はこちらのオリジナルのドラマを観たのは DVD の再リリース後の数年前だったりする。
高校時代テレビで放映したパイロット版を観てゾクゾクし、その後日本でもブームになったのもあり、大学に入ったらビデオをレンタルしようと思っていたのだが、ワタシにとって大学時代は文字通りの黒歴史というか、頭がおかしくてなぜか4年間どこのレンタル屋の会員にもならなかったのだ。
そうして数年前ようやく観た『ツイン・ピークス』は、よくこんな作品がアメリカで一時的とはいえ大受けし、カルトクラシックになったものだと呆れるほどヘンテコだし、そして面白かったが、やはりもっと早くに観るべきだったと苦くも思った。
そして、昨年観た新シリーズだが、当たり前だが旧作からの登場人物が25年老けていて、とんでもないスローペースなのにやはり呆れさせられた。
なにしろデヴィッド・リンチの作品だし、1話を観た時点でワタシなんぞがちゃんと理解しようとか考えても無駄というのが分かったので、そうした解釈は完全に放棄して、観るものを観るしかなかったので、賢しらな評価とか何も書けない。
個人的には旧シリーズでロクでなしの高校生だったボビー・ブリッグスがすっかり白髪頭になり、このシリーズを観ていてグッと涙がこみ上げるシーンの立役者だったのに、なんか救われるものがあった。これも説明が難しい感覚だが。
何しろ25年ぶりなので、丸太おばさんなど文字通り死の床で仕事を果たすキャストがいる中で、18話すべてを監督し、しかも役者として旧シリーズよりも遥かに出番の多いデヴィッド・リンチが一番元気なんじゃないかと、やはりアンタおかしいよと恐ろしくも思ったものである。
それはそうと、『ビバリーヒルズ青春白書』の新シリーズは……やはり見てしまうのだろうか。
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