個人的な事情がいくつも重なり、10月14日に東京日帰りというとち狂ったスケジュールで Maker Faire Tokyo 2023 に急遽参加した。同日についてのちゃんとしたレポートは、青山祐輔さんによる↑を読んでください。
以下、写真の並びは文章と一切関係ありません。
Maker Faire Tokyo に参加するのは恐ろしく久しぶりで、どれくらい久しぶりかと調べてみたら、なんと2014年以来だった。10年近く行ってなかったのか!
ご存じない人も多いと思うが、ワタシは2006年から2012年まで刊行された『Make: Technology on Your Time』日本版にずっと翻訳者として参加していたため、現在も招待状が届くのである。
WirelessWire 連載に「メイカームーブメントの幼年期の終わりと失敗の語り方」を書いたのも7年以上前になり、長らくメイカームーブメントの現場から離れてしまっていた。
以前は MFT に合わせて東京に遊びに行く予定をでっちあげていたのだが、2016年に福岡を追われて転居した後は、距離的には近くなったはずなのに、逆にそういう上京の機会を作れなくなっていた。2020年以降は、ご存じの通りコロナ禍もあった。
10年近くぶりの参加となれば、前回以前の記憶はもはや昔話なのだが、そこまで極端に浦島太郎状態になることはなかった。やはり変わらぬところも多々あった。
それは出展者にも言えることであり、それを停滞ととることもできるかもしれないが、ワタシにはある意味安心を与えてくれた。それに新しい風も確かに感じることができた。
むしろ変わったのは客層かもしれない。もちろん昔からご家族での参加を歓迎していたが、以前にも増してお子さん連れが多く、それは本当に良いことだと思う。未来は彼ら、彼女らのものなのだから。
そして、以前よりも海外からの参加者がすごく増えている。それはお客さんもそうだし、出展者側もそうだ。Maker Faire といえばこの人、高須正和さんが、中国系の出展者とビシバシ中国語でコミュニケーションをとっているらしいのを小耳に挟み、この人のバイタリティの一端に久方ぶりに触れることができた。
ワタシはほぼ12時の開場とともに入場……するつもりが、最初からかなりの混雑で、これだけうろついていれば知り合いと遭遇するはずという甘い予想が成り立たないのが察せられた。
入場するなり『雑に作る』の写真を撮られている森山和道さんをお見かけし、声をかけようと思ったが、かなり久しぶりなので人違いだったらいかんよなと声をかけそびれてしまった。あれはやはり森山和道さんだった……。
森山さんの他にも、レポート記事を書いている青山祐輔さん、あと wakatono さんも会場におられたはずだが、遭遇しませんでした。
これはいかんと、何度か遭遇する野尻抱介さんと思しき方に思い切って「野尻先生!」と声をかけたら、やはり野尻先生だった。野尻抱介先生も MFT といえば必ず参加されている常連中の常連なのである。
何年も現場に来てないのでそう思うのだろうが、最高位のスポンサーにオーム社や Switch Science と並び SONY の名前があるのに少し驚いたし、その次の位のスポンサーに日テレの名前があり、当然ながらブースを出しているのにも意外さを感じた。
結局17時過ぎまでひたすら会場を徘徊し続け、今年50歳になるワタシ的にはそれなりの疲労だったが、その価値は十分にあった。
なぜなら、こうした現場に出向き、メイカーの皆さんの成果を見ることで、エネルギーが充填される感覚が確かにあったからだ。これはとても大事なことである。
それがすぐに例えば WirelessWire 連載のネタになるとかいう単純な話ではないのだが、やはり真剣に面白いことをやっている人たちを目の当たりにできるのは尊いことである。
あとやはり時代の流れか「AI」を冠した展示がいくつもありましたね。「AIでRCカーを走らせよう!」あたりが気になったが、AI とメイカームーブメントの関わりはこれからどんな感じなんでしょうね。
しかし、それにしても多数の来場者だった。コロナ禍以降、こんな人のいる会場で過ごしたのは初めてだったな。田村さんはお見かけしなかったが、裏方で激務をこなしていたに違いない。
何しろロボット、電子工作、段ボール工作、クラフト、音楽、そしてお子さん向けメイカー教育などが一同に会しているのだからカオスとも言えるのだが、だからこその Maker Faire である。
会場に Make 分野のブックカタログが配布しているのでパラパラと眺めていて、『雑に作る』と『かがくを料理する』あたりで、いわゆる Make 分野の本が(『Make: Technology on Your Time』日本版を除いても)50冊を超えるのに気づく。
ここまで来たんだね。そういえば Make 本の内容では、料理に関する展示は MFT にはないのだが、さすがに料理まで持ち込むことは(火器の扱いや万一の食中毒を考えると)無理だよね。
17時45分発の羽田空港行きのバスで会場のビッグサイトを後にしたのだが、とても気分が良かった。これで明日以降、コロナやインフルエンザが発症しないとよいのだが……。
来年も MFT に参加できると良いのだが、来年の事を言えば鬼が笑うわけで、まずは何より生き延びたいものです。