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ザ・クリエイター/創造者

午後に『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』を観た後、レイトショーで本作を観た。映画のはしごなど普段まずしないのだが、本作はなんといっても『GODZILLA ゴジラ』や『ローグ・ワン』(なんでこの映画の感想をこのブログに書いてないんだ? と自分でも不思議だったが、2016年末に活動無期限停止した時期に公開が重なったせいだった)のギャレス・エドワーズの復帰作なので見逃せない。

思えば今年2023年は、ニール・ブロムカンプとギャレス・エドワーズがメジャーの長編映画に復帰した年となった。ニール・ブロムカンプの『グランツーリスモ』は雇われ監督としての仕事と思われるが、本作はギャレス・エドワーズのオリジナル企画で、これにかける彼の気迫が伝わる作品だった。「気になる映画があったら、どうか映画館に出かけてください。大スクリーンで応援してください」という彼の言葉に応えようではないか。

人間と人工知能による戦争というのは、もはや古典的なテーマとすら言える。本作が面白いのは、AI(というかロボット)が支配側ではなくレジスタンス側として描かれること。そうした意味でかなり挑戦的な作品なのだが、そのストーリー構図に『アバター』に近いものも感じてしまった。そこで本作の主役がジョン・デヴィッド・ワシントンなのが機能している。あとハンス・ジマーお得意の圧迫感のある音とは趣向が異なる音楽もやはり機能している。

本作は、西側社会とニューアジアが戦っているという構図で、冒頭「ニューアジアと戦争状態というわけではない」と語られるが、ノマドがあんな爆撃やっているってひどい話で、米軍とベトナム戦争のアナロジーでしょうか。ニューアジアの場面はアジア各国でロケが行われているが、渡辺謙が出演しているだけでなく、車が右ハンドルだったり、これは日本じゃないのか。電光掲示板に「オリックス 5×0 ソフトバンク」と出るあたり、こんな状態で野球を普通にやってるのかよ! となるが、そのあたりにヒリヒリするものをまったく感じないのは、もはや日本は米国にとっての脅威ではなく、カルチャーの参照先であるという立ち位置が本作を観ても分かる。

しかし、エンドクレジットのアレはさすがに全世界共通ではなく、日本版だけだよね?

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