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ツイスターズ

夏季休暇が挟まったため、感想を公開するのが遅くなってしまったた。レイトショーの上映時間の関係で吹き替え版を鑑賞。

1996年の『ツイスター』は未見のため、そちらとのつながりというか、前作を観ていればなおさら楽しいポイントなどは分からない。

いやー、面白かったですね。直球のパニックアクション映画で、何より竜巻の壮絶な迫力が――と書きたいところだが、ワタシが鑑賞した時点でシネコンの小さ目のスクリーンに移っていたのは少し残念だった(IMAX を最初から選択肢に考えてなかったのが敗因)。日本ではヒットとはいかなかったのだろうか。

本作は文句なしのスペクタクル娯楽映画なのだけど、「あらゆる映画は政治的だ。その中でもっとも政治的なのは、政治的でない振りをしている「エンターテイメント」映画だ」というヴィム・ヴェンダースの言葉を、彼の意図とは少し違う意味で思い出した。

どういうことか?

本作は紛れもなく2024年の映画である。なので、主人公の対抗馬となるストームチェイサーのタイラー・オーウェンズは、ネットで人気の YouTuber だったりする。そこまでなら不思議ではない。しかし、登場時は迷惑系インフルエンサーにしか見えない彼が、悪役でもかませ犬でもないのが良いのだ。

主人公は彼と張り合い、出し抜き合い、そうするうちに理解し合い、その過程で善玉と悪玉の見え方が変ってくるんですね。そして、さらには一度ひっくり返った両者の協力を描いているところを好ましく感じた。

そういう筋立ての映画はいくらでもあるだろうと言われるだろうが、本作で竜巻に関して気候変動がどうしたといった台詞は皆無なのも含め、アメリカにおける分断ではなく融和を描こうという意思を感じるし、それに心を砕いているのが『ミナリ』の監督である韓国系アメリカ人のリー・アイザック・チョンというところにワタシは勝手に感動した。

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