今回はロッキング・オン1990年1月号における The Wonder Stuff のマイルス・ハントへのインタビューを取り上げたい。インタビュアーはもちろん児島由紀子である。
この号の表紙はストーン・ローゼズなのだが(初来日特集)、ワンダー・スタッフは、80年代後半でローゼズ以前に登場したバンドの中では最も優れたバンドの一つで、このインタビューは『Hup!』発表直後のものだが、当時既にライブの評価が非常に高かった。
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フロントマンのマイルス・ハントがまたひねくれ入った弁がたつ男で、かなりの有望株だったのだが、この後ベーシストが脱退したりして低迷期に入ってしまう。その後復活するものの、『Construction for the Modern Idiot』という傑作をものにした後解散してしまった。煮え切らなかったのはメンバーも同様だったようで、その後再結成して立派な集客を誇ったりしたが、往時を越える作品は作れてないようだ。
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さて、このインタビューではそうした汎英国的ロックミュージシャンに対し、児島由紀子は「そういう貴方のクソガキぶりが反映してるのかも知れませんが、貴方達の書く曲には他人に対する尊敬の念や好意みたいなものが欠片もありませんね」とか「アルバム中の曲のほとんどがある特定の人々や特定のバンドを皮肉り、コキおろす為に書かれたものじゃないですか」とかすごいことを言っていて楽しい。
そうしたインタビュアーに対して一歩も引かずに毒舌で応戦していたマイルス・ハントだったが……
●じゃ貴方がライブにおいてさえ観客に対し侮辱的な言葉を吐くのもそのせいなんですか。
「いやそれは……」
●で、そういう貴方が実は極度のステージ恐怖症というのもおかしな話ですね。
「うーむ、それも知ってたのか」
●(笑)。じゃステージ前の緊張をほぐす為に、具体的にどんな事をするんですか。
「ベロンベロンに酔っ払うか、脳がひん曲がるほどラリってしまうかのどちらかだね」
●最近のインタビューではもっと他の答え方をしてたじゃないですか。
「ぎえっ!! あれを読んでたのか。うああ困ったなあ……女性の前であんな事言えるもんか」
●あ、一人になると意外と気が小さいんですね。
「くそっ! 気が小さいなんて言いやがる。よし解った。言ってやるよ。緊張をほぐす為に全員バック・ステージでオナニーをやるんだ!!(と叫び机の上に突っ伏してしまう)
モンティ・パイソンの検閲の話もそうだが、キリスト教圏において「オナニー」の話は長年タブーであって……というか、ミュージシャンにそれを言うよう強いる児島由紀子はツワモノとしか言いようがない。