ワタシが Napster Japan のサービスを満足して使っていることは以前にも書いたが、さすがにいろいろと腹立たしい点も見えてきた。
それについてはいずれまた書くとして、先日のケイト・ブッシュにまつわるショック体験を書きたい。
要は「あー、久しぶりにケイト・ブッシュでも聴きたいなぁ」と思い、"Kate Bush" で検索して個別ページに移動したところ、いきなり以下の画像が目に飛び込んできたのだ。
真夜中にひきつけを起こしそうになったぞ、コラ。何でこの写真を選んだんだか。
さて今回の「ロック問はず語り」は、ロッキング・オン1990年1月号からケイト・ブッシュのインタビューを取り上げる。ちなみにこの号は、ストーン・ローゼズ初来日特集号で、以前紹介した坂本龍一毒吐きまくりインタビューもこの号収録である。
ケイト・ブッシュのインタビューは四年ぶりの新作『The Sensual World』を受けたものだが、個人的に彼女の写真を見てショックだったのは、口元にはっきり皺があらわれていたこと。ジャケット写真はそのあたりうまく隠している(笑)。
- アーティスト: Kate Bush
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- 発売日: 1989/10/25
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インタビューではその『The Sensual World』の歌詞の官能性を中心に扱っているが、残酷にも彼女が当時30を越えたことについても聞いている。かなり長くなるが、彼女の答えが興味深いので、その部分をすべて引用させてもらう。
●ただ、三十を越えたともなると……。
「ちょっと、ドサクサに紛れて変な話題を持ち上げないでよ(笑)」
●(笑)ええ、まあ、そうなんですけど、でも、年をとっていくのはまぬがれられない事実だし、年齢に伴う外面的な変化とでも言えばいいんでしょうか、とにかく、あなたのそうした変化に対する人々の印象が気になったりしません?
「とにかく、かつて若かったあるスタイルの音楽が成長しようとしている局面に私達は今、接しているわけでしょう? こんなこと今までなかったことで、画期的だとさえ言えると私は思うのに、でも、誰もこの現状を受け入れようとはしないのよ。この業界には才能に溢れた男の人達がわんさといるというのに四十になったからと言って、どの人も叩かれ放題じゃないの。要するに四十にもなった人間がロック業界に未だ身を置いているというのはヒップなことじゃないらしいのよね。まあ、それは別問題として、私なんかの場合、自分をパフォーマーとして考えていないから年齢的なものを除いたとしても、自分を晒け出して売り込むのはすごく苦痛なのよね。だけど、その反面、私のイメージの受け取られ方も他のアーティストとは多分に違うみたいだから、それで幸いしているところもあるのよ。何か、結構、ひどい感じで映し出されてしまったとしても、皆、そのことを口に出さないでくれるみたいなの。それに、まだ、それ程ひどく老け始めたわけじゃない……ような気がするけど、どうなのかしら。ねえ?」
●ええ、まあ……。
「あら、ちょっと困ったわ」
●あっ、いや、決してそんなつもりじゃないんですよ、全然。
「今では、『ああ、何てこったい! 彼女は何て老けてしまったんだ』と思われるのよね。昔は『へっ? 何てちっちゃな女なんだろう』と思われていたのに」
インタビュアー残酷(笑)。多分、口元の皺を見て、自分に嘘がつけなかったなんてことだったりして。
かつてソニック・ユースのキム・ゴードンが「ニール・ヤングなら歳をとって円熟したと評されるのに、女性が歳を取ると『枯れた』と言われてしまう」といった趣旨の発言をしていたが、ケイト・ブッシュのインタビューはその以前のメンタリティーが大勢だった時期で、特に女性アーティストにとっては、30代に達し若くない自分に直面するのは一種の危機的体験だったのかもしれない。彼女の長広舌にもそのあたりの戸惑いがよく出ていて面白い。
その彼女も2005年に12年ぶりの新譜『Aerial』で見事に復帰を遂げたが、今年は実にデビュー30周年である。
- アーティスト: Kate Bush
- 出版社/メーカー: Sony Music Entertainment
- 発売日: 2005/11/08
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