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スミスの『Strangeways, Here We Come』から20年……

Strangeways Here We Come

Strangeways Here We Come

ちょうど今日、スミスの(コンピレーションやライブ盤を除いた)ラストアルバム『Strangeways, Here We Come』が発表されてちょうど20年になる。

正直に書けば、ワタシはこれをリアルタイムに聴いていたわけではないのだが、まったくどうしようもないことに、未だにワタシはスミスが大好きだ。自意識過剰、被害者意識、ヒステリックな断罪、劣等意識の裏返しの傲慢、鬱屈と破滅願望……いったいそのどこが間違っているというのだ、と思わせる破壊力を持っていた唯一のロックバンドである。

スミスのアルバムでは、一般には『The Queen Is Dead』が最高傑作とされ、ワタシ自身そう思うのだが、近年ではモリッシージョニー・マーも本作を讃えていたんじゃなかったかな。

本作はまさにスミスというバンドの可能性が急速にしぼみ、瓦解していくところを見ることができる傑作である。

「オッス! オラ、18ヶ月前に首吊って死んだ厄介者ジョーの幽霊」という高らかな宣言から始まる "A Rush and a Push and the Land Is Ours" は、すぐに「おっと、愛については触れないで。あんな辛い思いは二度と御免だ」と怖気づき、"I Started Something I Couldn't Finish" や "Stop Me If You Think You've Heard This One Before" といったロックナンバーも歌詞は惨めなまでに自己弁護的で、"Girlfriend in a Coma" や "Unhappy Birthday" のような美しい曲も敵意に満ちた言葉で埋められ、"Death of a Disco Dancer" や "Last Night I Dreamt That Somebody Loved Me" はその曲タイトル通りどうしようもなく陰鬱で救いがない。そしてラストの3曲、"Paint a Vulgar Picture"、"Death at One's Elbow"、"I Won't Share You" もタイトルを見て分かるようにバンドの瓦解を……おい、誰か止めろよ。

1990年には、「ジョニー・マーから電話があったらどうする?」という質問に、「次のバスで彼の元に駆けつける」と答えていたモリッシーも、そのおよそ10年後には、マーとまた仕事をすることはないのかという質問に、「そうだな、こう言えば分かってもらえるかな。ない」と言い切っていた。再結成という噂も多分ガセネタだろうし、やらないほうが良いと思うけど、そうなったらなったで一目見てみたい気もする。

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