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ゲット・ラウド

二年以上前に紹介済みの映画だが、ワタシの住んでるところでも公開されたので観てきた。こういう作品は映画館の大音量で観たいものだ。

実を言うと、それほど期待してなかったのでまずまず楽しめた。値段的にはレイトショーでちょうどよかった。

本作の主人公であるジャック・ホワイト(ホワイト・ストライプス)、ジ・エッジ(U2)、そしてジミー・ペイジレッド・ツェッペリン)の三人とも大好きなギタリストである。しかし、三人ともタイプが結構異なる。この映画では、その三人が語り合うわけだが無理に話を合わせることなく、基本的には三人の音楽遍歴が並列的に語られ、その中からギタリスト的文脈が浮かび上がる構成になっている。

ホワイトとペイジの間にはブルース直系のハードロック(そういえば昔ホワイトの歌がロバート・プラントに似てると言われてたね)、ジ・エッジとホワイトの間にはパンクという共通項があるが、もちろん世代が違うし、本作を通して印象的なのは一番表現者として現役なジャック・ホワイトが持つ不穏さ、肉体性にこだわる意固地さであり、意外にも伝統継承的なこと。本作の主役は間違いなく彼である。

ジ・エッジはホワイトと対照的に機材にこだわる。本作ではワタシが U2 の楽曲の中でもしかしたら一番好きな "Where the Streets Have No Name" のデモが紹介されるが、あのフィードバックの塊のような音が重なることでオーケストレーションのような効果を発揮する彼のギターの秘密の一端が窺える。

そしてジミー・ペイジ。彼の名前を出すたび「残骸」とかけなしてしまうが、ワタシにとってレッド・ツェッペリンは紛れもなく不滅の存在である。本作ではペイジの非ブルース的な側面が語られていて(しかし、10代半ばと思しきペイジがスキッフルをテレビで演奏する映像が残ってたとはね!)、その見方は間違っていないと思う。本作ではペイジが実に嬉しそうにニコっと笑う場面が多く、ワタシまでそれを観ながら表情が緩み、そして少し泣きそうになった。

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