- 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
- 発売日: 2014/03/26
- メディア: Blu-ray
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かつて経験したことないほど長時間盛大にゆれ続ける機内で観た。
アル・パチーノ、クリストファー・ウォーケン、そしてアラン・アーキンというオスカー俳優三人の初共演作(だよね?)なのに日本公開の話が一向に聞こえてこないことからも想像できるが、興行的にこけたし、批評受けも芳しくない。
ワタシ的に、この映画には一つ大きな美点がある。それはクリストファー・ウォーケンが大きな役をやっていることだ。そして、本作で彼はストイックで、感情を露にしないとても彼らしい役をやっている。それだけでワタシは満足である。
本作は28年ぶりにシャバに出てきたアル・パチーノ演じるヴァルを、昔の仲間であるウォーケン演じるドクが迎えに行き再会してからの一日を描くもので、アラン・アーキンの役どころに顕著なように基本的にはジジイのファンタジーともいえる。
トレイラーを見れば分かるのでこれはネタバレではないが、ドクがムショを出たヴァルを引き取ったのは、彼を殺せという命令を、ヴァルのせいで息子を失ったマフィアのボスであるクラップハンズから受けてるため。果たしてウォーケンはパチーノを殺るのか、タイムリミットとなったときにパチーノと正対するウォーケンの無表情、これを見れればワタシは十分なのだけど、クラップハンズの息子の死にはもう一つ実は隠された事情があり――みたいに脚本にもう一捻りがあれば、話に深みが出たのかもしれない。
劇中ある人物が死に、ヴァルが弔辞を述べるのだが、それがワタシが一年前から書きたいと思いながら書けていない文章のテーマに合致するものでビクッとなった。実はそれはロジャー・イーバートの文章に触発されたもので、そのイーバートは本作に星三つ半という高評価を与えているが、一般の評よりも点が高いのは、彼もその台詞に自分の文章を思い出したからではないかとワタシはにらんでいる。
さて、主人公らが立ち寄るダイナーのウェイトレスであるアレックスを実に感じのよい女性が演じていて気になったのだが、後半ドクがこの店にかならず寄る理由が明らかになり、やはり考えられたキャストだったことが分かる。Addison Timlin というこの女優さんは今後注目ですね。