ブレイディみかこさんの新刊(の片方)『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(特設ページ)を先月読了したのだが、すごく良かった。
- 作者: ブレイディみかこ
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2019/06/21
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
- 作者: ブレイディみかこ
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2019/06/21
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』は、その主人公であるケン君を通じて「エンパシ―(empathy)」という言葉の意味を考えさせてくれる本である。ワタシは2014年の春にケン君に一度会ったことがあり、あのとき喫茶店の床に転がりながらタブレットでサッカー動画を見ていたお子さんがもう中学生とは……と自分が歳を取ったことをなにより思い知らされてしまったりもした。
せっかくなので、ブレイディみかこさんにこの本でグッときたところはいくつか挙げるメールを送ったのだが、その中のひとつである、ケン君が友達のティムにリサイクルされた制服をあげる場面について、著者自身から、あそこに出てくるアレはお前からもらったブツだと指摘され、こっちが驚いた。
息子はいつまでも窓の脇に立ち、ガラスの向こうに小さくなっていく友人の姿を見送っていた。ティムの手元でぶらぶら揺れる日本の福砂屋のカステラの黄色い紙袋が、初夏の強い光を反射しながらてかてかと光っていた。(p.114)
そう、ティムに渡された制服を入れた福砂屋の紙袋は、ワタシが以前ブレイディみかこさんにあげた長崎土産の福砂屋のカステラを入れていた袋だったらしい。それ以降で福砂屋の紙袋をイギリスに持ち帰った覚えはないから、と。
確かに福砂屋の紙袋なんてそうそうもらうものではない。しかし、ワタシがあの土産をあげたのは、2013年の正月だったりする。物持ちいいな! と思わず笑ってしまったが、それはともかく、ワタシがあげた福砂屋の紙袋が海を渡り、何年も経って彼女の息子さんの友人の手に渡るなんて素敵な話じゃないか。
そういうわけで、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』にワタシが友情出演していた話である(正確にはワタシがあげた紙袋)。
8月後半にブレイディみかこさんは来日されていたが、ブックスキューブリックでのトークイベントなど、ワタシが福岡にいたなら絶対かけつけたのに、と未だに死んだ子供の歳を数えるようなことを考えてしまうのが悲しい。
さて、ここからは例によってワタシの宣伝だが、そのブレイディみかこさんに「ボーナストラックの長編エッセイに泣きました」と言わしめた『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』もよろしくお願いします!
実は、彼女がある文芸誌に書き、ウェブでも読めるある書評にも、このボーナストラックの長編エッセイ「グッドバイ・ルック」の話が出てくるのだが、それに気づいたのって多分3人くらいじゃないのかな(笑)。