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ザ・フー:アメイジング・ジャーニー

ワタシが観たのは金曜夜のレイトショーだったが、公開初日に同じ映画館で観た『ルー・リード/ベルリン』のときより客が多かった。

これは何度か書いているが、ワタシの The Who との出会いは、「サントリーサウンドマーケット」で聴いた1989年の再結成公演で、それがあまりにも素晴らしかったので一気にファンになった。本作ではそのときの話がほぼスルーされてて悲しかったけど。

彼らのドキュメンタリー映画というと『キッズ・アー・オールライト』(asin:B001F1XE3S)があって、ただワタシはこの映画を全部は観てないのでどの程度かは分からないが、ハイ・ナンバーズ時代の質の良い映像など初出の映像も多かったのではないか。

本作は映画の構成を二枚組レコードに模しているが、ドキュメンタリー映画としては割と普通の作りである。それでも彼らは演奏する姿が本当に「絵になる」バンドなので観ていて飽きない。

いろんな人が引用しているが、「言うなればキースとジョンは天才だ。もちろん俺もそうだ。しかし、ロジャーはただのシンガーなんだ」というピート・タウンゼントの残酷な言葉と、それに続くロジャー・ダルトリーの「他の奴から何を言われようと構わない。俺はこのバンドの「声」になると誓ったんだ」という言葉は本作のハイライトであり、The Who という特異なバンドの性質をよく現している。

本作を観ても痛感するのが、キース・ムーンのドラムとジョン・エントウィッスルのベースの異常さである。本作は、その異常なビートを繰り出す天才二人(彼らの母親が、二人とも未だ矍鑠としていてインタビューに答えているのが何とも)を失いながら、ピートとロジャーが深い信頼関係を育みバンドを続けていく物語とも言える。

それにしても比較的長めに収録された2001年のライブは凄まじく、その直後にジョンがラスベガスでコカインやりながら娼婦と性行為に及び心臓発作で死んでしまったのはやはり残念である(その死について、皆が「最高じゃん」的に語っているのが笑えた)。

1989年の再結成のときも散々金のためだと叩かれたが、その後も繰り返される再結成の大きな動機のひとつはやはり金で、具体的には浪費を止められないジョン(ピート曰く「奴は"H"の完全な中毒なんだ。「ヘロイン」じゃない。「ハロッズ」だ」)の経済危機を助けるためだったというのは皮肉ではある。

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