これは面白そうだと読むうちに、これって今年はじめに書いた「もはや世界を終わらせかねないサイバー軍拡競争の最前線」で紹介した This Is How They Tell Me the World Ends の邦訳じゃん! と思いあたった。
原書は今年2月にハードカバーが出ており、それから半年足らずでの邦訳刊行なのだから、スピード出版と言えるだろう。上下巻で5000円を超えるなかなかのボリュームに少したじろぐが、それだけの価値があるとハヤカワは踏んだわけで、こないだ紹介したジェームズ ネスター『BREATH──呼吸の科学』もそうだが、こういったノンフィクションも早川書房が持っていってしまうんだなぁ、という感慨がある。
『サイバー戦争 終末のシナリオ』は、このような筆者の問題意識に見事に応えてくれた。著者のパーロースがエピローグで述べているように、本書の焦点はまさに「人」に当てられているからであり、他の「サイバー戦争本」と一線を画しているのはまさにこの点である。
【8/3(水)発売】見えない「サイバー戦争」はどこで行われているのか? 小泉悠氏による新刊解説を特別公開|Hayakawa Books & Magazines(β)
技術ドリブンのサイバー戦争本よりは開口が広い本ということか。
しかし、「邦訳の刊行が期待される洋書を紹介しまくることにする(2022年版)」で取り上げた洋書で、最初に邦訳が出たのがこれになるとはまったく予想してなかったな。