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オアシス再結成について思うところは特にないので、1994年のインタビュー記事を振り返る

nme-jp.com

さて、先週はオアシス再結成が正式発表されたわけだが、それについてワタシが思うところは特にない。

自分のブログの過去ログを探すと、2009年のオアシス解散時にワタシは辛辣なことを書いているが、2000年のオアシス福岡公演でリアムが数曲で退場したときに受けた心の傷が、当時まだ癒えてなかったようだ。

しかし、ここにも書いているが、ワタシはオアシスの全アルバムを買ってたんだよね。アルバムを全部持ってたバンドって、(ストーン・ローゼズのようにアルバム2枚とかそういうのは別として)ワタシの場合、オアシスしかいないのである(ま、『Standing on the Shoulder of Giants』と『Dig Out Your Soul』はもう売り払ってしまったけど)。

いくら好きと言っても、ストーンズも、ツェッペリンも、スティーリー・ダンも、キング・クリムゾンも、デヴィッド・ボウイも、プリンスも、ルー・リードもアルバムすべては持っていない。オアシスの同時代のバンドにしても同じで、ブラーもレディオヘッドもアルバム全部は買ってないんだよね。

彼らの解散時点でワタシは既にストリーミング配信サービスを利用していたが、当時はまだ CD をそれなりに買っていた。しかし、2010年代になると、どんどん CD を買わなくなる。今の若い人に「アルバムを全部持ってた」とか言っても「は? 意味分からん」という感じだろう。

これだけだとなんなので、今から30年前、1994年のデビュー当時に rockin'on に掲載されたインタビューを引用したい。

まずは1994年8月号(表紙はローリング・ストーンズ)のインタビューだが(インタビュアーは増井修)、インタビューの前日にクリエイション・レコード10周年記念イベントがあり、そこで喉をつぶしていたリアムに代わって3曲一人でアンプラグドライブを披露したはいいが、その後のパーティで飲み過ぎて朝10時帰りのため二日酔い状態のノエルの反応は鈍く、途中から登場のリアムの受け答えが印象的である。

●じゃ貴方個人が理想とする本物のロックンロール・スターってどういう連中なんですか。
L「そうだな…シド・ヴィシャスみたいな奴とか」
●(笑)マジで、ですか。
L「そりゃ奴は人間的にはどうしようもないオメデタ野郎だったかも知れないけど。でも俺個人にとってはシド・ヴィシャスは感情移入しやすかった。特に自分の信じる事以外はそれこそ自分の命さえ関係ないって面がね。そりゃ確かにやたら自虐的で白痴的な奴ではあったけど、常にある種のクールさに裏付けされたらし」
●彼みたいな最期を迎える事さえいとわない、って意味ですか。
L「(笑)いや俺は性格的にもシド・ヴィシャスとは似ても似つかないから、まずそれはないよ。でも徐々に燃え尽きていくより、瞬発的にパッ!と燃焼するほうが性に合ってるのは事実だけどさ。と言っても別にニルヴァーナの奴みたく銃口を自分に向けたがる衝動に駆られてるって意味じゃないんだぜ。だたその日その日を瞬間的に燃焼させていくって生き方には賛同できる、って意味であって、毎朝、目を覚ます度にまるで今日生まれたばかりなんだ!みたいな気分で毎日生きていくのが俺の理想なんだよね」

実にリアムらしいと思う。そして、以下のインタビューの最後のやりとりは、当時読んでて大笑いした覚えがある。

●そうなんですか。じゃ9月に初来日が決まったところで日本のファンに対してそれぞれのメッセージを。
N「ああ。じゃ待ってろよな」
●たったのそれだけ?
N「じゃ、近いうちに必ず上陸するからさ、ってのも加えとくよ」
●(笑)ったくもう、何なんですか貴方達は。
L「じゃ俺は…君達のメシが美味くて、ブルース・リーは最高にカッコイイ奴だから楽しみにしてる、ってのも加えとこうか」
●貴方、ブルース・リって中国人なんですよ。日本人じゃなくて。
L「えっ? そうだったけ。でもそんな細かい事どうでもいいじゃん。カッコイイ奴には違いないんだからさあ」

続いて、1994年12月号(表紙は R.E.M.)に掲載された、彼らの初来日時にインタビュー(インタビュアーは増井修)。

●じゃあ、最初の質問。アルバム『ディフィニットリー・メイビー』は何と全英初登場一位! 「やったぁ! 念願叶ったぞ」、それとも「あったりめーだろが、こんなのはぁ。いまさら気にしてるんじゃねぇよ、馬鹿野郎」。どっち?
リアム(以下L)「俺は嬉しかったけど」
ノエル(以下N)「俺はどこかほっとしたなぁ(笑)。いやぁ、だって二位のアルバム自慢したってしょうがねぇじゃん」
L「そっ、二位じゃたりねぇよ、やること何でも一位じゃなくっちゃ。なれなかったらなれないで、それでまたいいんだけど、でもいかなきゃなぁ……だから、俺はさっぱり驚きもしないよ、こんなの。(中略)これは一位に値するアルバムだし、何も俺は傲慢さからそう言っているんじゃないんだぜ。これは一位にふさわしい作品だったんだ」

増井修のべらんめえ口調がうざい。次のリアムの受け答えも実にらしくて良い。

●(笑)さて僕はステージでリアムが笑顔を見せているところを一度も見たことがないんだけど、あれはいつでも喧嘩の臨戦態勢に入っているという表示でしょうか?
L「バカモノ。とにかく、俺は笑わないんだ。微笑まなきゃいけないとか、そんなきまりはないだろう? 微笑みたくなったら、その時は微笑むよ。だけど、したくなければしない。あいつは全然微笑まないからギグも失敗だった、なんて思ってギグから帰る奴なんざいねぇんだからさ。これで一番重要なのは単純に音楽だけなんだから」

その後、当時バンド(というかギャラガー兄弟)について評判となっていた、しょっちゅう喧嘩沙汰を起こす話についてリアムが説明しているのだが、目の前で取っ組み合いの喧嘩をされた NME の記者も驚いただろうな(笑)。

L「大体、あの喧嘩云々っていうのは、NMEで最初にやったインタビューのせいだったんだよな。ノエルがよ、いちいちかんに触ること言ってるから、それで頭に来たから、『やる気か? NMEの前で』と訊いたら、『やる』って言うんだもん。で、そのまま取っ組み合いになっちゃった。それで、喧嘩をおっぱじめると確かにすんげぇビッグ・ストーリーになるってことはわかったんだけど、やっぱ、喧嘩は人のいないところでやった方がいいんだってわかったよ」

続いて、当時のローリング・ストーンズについての質問の流れから、どれくらいバンドをやることになろうかという質問についてのリアムの答えはこう。

L「とりあえず、契約では六枚のアルバムを作ることになっているから、その先どんなことができるか、それを俺としては見てみたいんだよな。ひょっとしたら、四枚で終わりっていうことになるかもしれない。でも、六枚作って、また新しい契約にありつけるかもしれない。でもって、五十になってもこれを続けてるようだったら、それならそれでさらに続けていくだけだ。でも、そんなことより今だよね。(後略)」

現実には、オアシスは7枚のアルバムを作って解散した。そして、彼は50代になって、「これ」を続けている。

このインタビューで笑えるのは、ギャラガー兄弟以外のメンバーも欠かせないものなんですよねという質問の流れで、唐突にノエルが「ドラマーは除いての話だけど。あのまんこ野郎の」と罵倒し出し、それにリアムも「あのドラマーだけは交換がきく人間なんだ」「くそ変人野郎」と断言しているところ。

その後語られる、ロック・バーの「ローリング・ストーン」来店時、皆がセックス・ピストルズキンクスやフーの曲をリクエストしてるのに、そのトニー・マッキャロルが「リヴ・フォーエヴァー」をリクエストしてギャラガー兄弟が呆れた事件だが、当時その店で DJ をやっていた梯一郎が、このときのオアシス御一行の話を後に本文原稿で書いていた覚えがある(わざとブラーの「ガールズ&ボーイズ」をかけると、リアムが『ファック!』と叫んだとか)。

今、「リヴ・フォーエヴァー」のビデオを見ると、これはトニー・マッキャロルの葬式ごっこいじめを撮影したものではと思えてしまうのだが、案の定、翌年に彼はバンドから解雇されてしまう。

その1995年にもオアシスは二度目の来日公演をやっているが、この時に行われたインタビューを引用したのが、「【職場では】真説ボンベイ・ロール【閲覧注意】」だったりする。

ともかく、現時点ではしっかりライブをやってくれること、そしてツアーを待たずにまた大喧嘩なんてことにならないのを祈るばかりである。

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