土曜日に NHK で放送された「ETV 特集・京都賞、歴代受賞者からのメッセージ」をうっかり録画し損ねた。
yet another 自分用メモによると、アラン・ケイがヴァニヴァー・ブッシュの「われわれが思考するごとく(As We May Think)」に影響を受けた話を語っていたらしい。
奇しくも iNTERNET magazine のリニューアル号には Douglas Engelbart インタビューがフィーチャーされているが、joesaisan さんも書いているようにその彼がブッシュに大きな影響を受けたことは、例えば「マウスと共に生まれたWWWの起源――第2次世界大戦中までさかのぼる」に詳しい。他にも「ハイパーテキスト」をお題目にベイパーウェア生活40年以上なテッド・ネルソンの Xanadu、ビル・アトキンソンの HyperCard、そしてアラン啓の Dynabook……先人達はみんな Memex の洗礼を受けているのである。
そして joesaisan さんが続ける通り、『ウェブログ・ハンドブック』も、「われわれが思考するごとく」からの引用で始まる。
検索経路の開拓が新たな職業となり、これに従事する人々は、公的記録の膨大な集積のなかに有益な検索経路を進んで確立していくのである。師から弟子たちへ受け継がれるものは、世界の記録への追加ばかりでなく、弟子たちがよって立つ足場全体になるだろう。
『ウェブログ・ハンドブック』を訳すにあたり、これだけは既訳に頼った。何よりワタシ自身西垣通編『思想としてのパソコン』における訳になじんでおり、それ以外の訳が考えられなかったからである。
ブッシュの60年前に書かれた論文がウェブログにまで当てはまるというのは別にレベッカ・ブラッドだけが言っていることではない。それについては、Ethan Cerami の「Memex に立ち戻る」が分かりやすいだろう。これを訳していて、『思想としてのパソコン』の訳に脱漏があったのに気付いたりもしたっけ。
この文章を訳した後、Memex から始めてウェブログや Wiki や検索エンジンやらを語る文章を構想していたが、能力が足らずまとめられなかったのは残念である。