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メッセージングアプリSignalが暗号化で妥協しない理由を新プレジデントが語る

www.theverge.com

Vergeに、9月に Signal Foundation のプレジデントに就任したメレディス・ウィッタカー(Meredith Whittaker)のロングインタビューが掲載されている。

インタビューの前説でも触れられているが、彼女は(ケイト・クロフォードとともに)AI Now Institute の共同設立者であり、GoogleAI倫理委員会の解散を求めて抗議活動を行ったことで知られる。

そんな一見企業のトップ向きには思えない彼女だが、このインタビューで知ったのだが、メッセージングアプリの Signal って Signal Foundation という非営利団体によって運営されていて、Signal 自体も非営利的というか、利益や成長を優先して無理するインセンティブがないという。

このインタビューでもっとも興味深いのは、やはりタイトルにもなっている Signal が暗号化で妥協をしないところである。iMessage や WhatsApp との比較を聞かれているのだが、WhatsApp の共同創業者のブライアン・アクトン(Brian Acton)は、今は Signal Foundation にいるんだね。

そこのあたりを少し長くなるが訳してみる。

それでは、WhatsApp を具体例にしてみましょう。繰り返しになりますが、WhatsApp は Signal 暗号化プロトコルを採用しており、メッセージは暗号化されます。それはブライアンと彼のチーム主導の間違いなく先見の明のある選択でしたし、それは大いに賞賛します。しかし、メッセージ保護だけで終わってはいけません。WhatsApp は Signal のようにメタデータを保護しません。Signal は、あなたが誰かをまったく知りません。プロフィール情報を保有しませんし、グループ暗号化保護を導入済です。あなたが誰と話しているか、グループメンバーに誰がいるか、我々は知らないのです。メタデータの収集を最小限にすることで遥か上をいっているわけです。

他方、WhatsApp はプロフィール、プロフィール画像、誰が誰と会話をしているか、誰がグループのメンバーかの情報を収集しています。それは強力なメタデータです。一企業が Meta/Facebook によっても所有されるデータを収集するのはとりわけ強力――ですし、これこそ我々が構造的議論に立ち戻らなければならないところ――です。Facebook は大量の、まさに言語を絶する量の、全世界の何十億もの人たちの私的な情報を所有しています。

WhatsApp のメタデータが容易に Facebook のデータに接続可能で、人々の極めて私的な情報をたやすく暴露しかねないのは取るに足らない話ではありません。WhatsApp が暗号化プロトコルを除去するか、拡張するかの選択は、やはり Facebook の手にあります。メッセージの暗号化全般について語るなら、その組織がどんなもので、実際には誰がこうした決定権を持っているか、あまり議論されない細かい点について構造的に検討しなくてはならないのです。

繰り返しになりますが、Signal は非営利です。我々は Facebook のようにデータにアクセスしません。そうしたデータへのアクセスを避けているのです。あなたのデータを買ったり、売ったり、取引はしません。パラダイムが違うのです。いかにマーケティングが洗練されていようが、WhatsApp が真に安全でプライベートだとは言えません。ディテールを総合すると、そうでないと結論づける必要があります。つまり、Signal はそのためだけに存在するのです。

これはインタビューのはじめのほうで、この後にもこれを読んで知る情報がいくつもあった。従業員は40人くらいで、大半が開発者とのこと。Signal をブロックしている中国の市場に参入するために妥協するつもりは一切ないらしい。あと Signal もストーリーズ機能を提供するとな。

ネタ元は Schneier on Security。そうそう、ブルース・シュナイアーは昨年、Signalの暗号通貨による送金機能の追加に苦言を呈していたが、このインタビューでその話は一切なく、シュナイアー先生は Signal を今も毎日使っていると書いているので、この話は取り消されたのかな?

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