「松嶋×町山 未公開映画祭」においてレンタルした(予告編)。
オーストラリアで量産されたB級映画にスポットライトをあてるドキュメンタリーで、話には聞いていたが、ゲロ、カンガルー、裸、流血、裸、絶叫、裸、火だるま、切株、カークラッシュ、爆発、カンフー、バイククラッシュ、人体破壊のオンパレードでとんでもないものだった。
本作は時代に咲いた徒花というべきB級映画を通してオーストラリア映画の歴史を振り返るもので、当時活躍した映画制作者、監督、俳優らが思いを語っているが、「自分を風刺できない者に自意識など育たない」とか「B級映画の楽しみは騙されること」といった含蓄のある言葉も時折出るが、バイクのすごいスタントで全身青あざを作って失神とか、ヘルス・エンジェルスを呼んで撮影したが出演料がビールだったため大乱闘が起こり現場が血の海になったとか、デニス・ホッパーのハードな酒とドラッグをやりまくるクレイジーぶりといった強烈すぎるエピソードがてんこもりでそっちしか印象に残らない。
特にカーアクションとスタントのムチャさ加減がすごく(ひどく)て、ロケット(本物!)での加速、道路封鎖なしに公道でカーチェース、実弾の使用など見てて怖くなる。映画監督や俳優の「けが人は出てない」と強調する証言が重なるたびに、逆に背筋が寒くなる。
あと本作ではオーストラリア映画ファンのクエンティン・タランティーノが心底嬉しそうにその魅力を喋りまくっているが、『キル・ビル』でユマ・サーマンがツバを吐く場面がオーストラリアのホラー映画からのインスパイアとは知らなかった。
何というか AC/DC の音楽が良く似合う過剰な映像がここまで続くとしまいには清清しい気持ちになってくるから不思議なものだ。