「緊急:アメリカ合衆国のインターネット検閲を止めろ」を訳したときは、とにかく SOPA の話を多くの人に知ってもらわなければ、と珍しく使命感とは言わないが少しだけそれに近い感覚があった。
今年に入って SOPA も PIPA も早期成立はなくなったが、クレイ・シャーキーの講演「SOPAはなぜまずいのか」は今も見る(読む)価値がある。
非常に細かいところを突っ込ませてもらうと、この講演には一点間違いがある。
ジャック・バレンティは全米映画協会のロビイストの首領ですが、以前恐ろしいビデオカセットレコーダーを切り裂きジャックに喩え、かよわいハリウッドを家に一人でいる女性に喩えたものです。何という話術でしょう。
SOPAはなぜまずいのか
ジャック・バレンティはビデオレコーダーを「切り裂きジャック」には喩えてないんですね。これは元から "Jack the Ripper" と言っているから訳者の青木靖さんではなくクレイ・シャーキーの間違いである。
そもそも切り裂きジャックは娼婦ばかりを殺しており、ハリウッドを「家に一人でいる女性」に喩えるのもおかしいのだ。
それなら正解は何かというと「ボストン絞殺魔」で、これについては殺人博物館の岸田裁月さんの文章が詳しい。
なんとも恐ろしい事件だが、これをハリウッドはまだアルバート・デサルヴォが係争中で有罪と確定していない段階で、役名に彼をはじめとして実際の人物名をあてて『絞殺魔』という映画を作っているのである。
この映画についてはやはり最低映画館の岸田裁月さんの文章を読んでいただくのがよいが、ハリウッドを「家に一人でいる女性」に喩えるのは、まったく厚かましいにもほどがある。
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