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はてなダイアリーの先住民の墓標を辿り思ったこと

They put a parking lot on a piece of land
Where the supermarket used to stand.
Before that they put up a bowling alley
On the site that used to be the local pally.

The Kinks, "Come Dancing"

さて、こないだ公開した「夏休み自由研究:はてなダイアリーの先住民の今、もしくははてなダイアリーという名の墓標」が好評いただいているようだ。

そこでも書いたが、2時間くらいあれば書けるとたかをくくっていたらとんでもない時間がかかったエントリで、最後はほとんどゾンビのような状態で仕上げたものなので、苦労が報われたようで何よりだ。

これをやろうと思ったのは、実は栗原裕一郎さんのツイートを見たからだったりする。

そうそう、この頃はてなアンテナ被登録数でワタシと Ririka の人がずっと同じくらいだったのだ。

今回はてなダイアリーの先人たちの現在を辿るにあたり、id 削除した人でも少し事情が分かるものについては参考リンクを入れさせてもらった。

Ririka の人についても加野瀬未友さん(id:kanose)が詳しいエントリを書いていた記憶があった。探してみると、確かに言及していたが、自分が記憶していたよりずっとあっさりした文章で不思議だった。自分のエントリ公開後、加野瀬さんエントリのブックマークページ経由で自分の頭にあった文章を書いたのが yuco さんだったことを思い出した(Internet Archive)。

さて、今回のエントリを書いて一つ思い出した文章がある。レベッカ・ブラッド『ウェブログ・ハンドブック』において「休息を取る」と題されたところだ。久しぶりに読み直したらすごく良い文章だったので、以下引用の範疇を逸脱した長さになるが、引き写させてもらう(もうとっくに絶版だし、お目こぼしいただきたい)。

 サイトを作成したとき、あなたは当時の状況を基に更新スケジュールを決めた。しかし、仕事の負荷が大きくなったり、家族に対する責任を果たすために、あなたの空き時間の使い方を完全に変える必要があるかもしれない。どんなケースであっても、あなたのニーズに合うようにスケジュールを遠慮なく変えればよい。(中略)生活上の出来事のために、個人サイトの更新を1週間に5回から3回に減らさなければならないなら、そうすればよい。もし、中断されないまとまった時間を週に1度、3時間しか捻出できないなら、それでやるしかない。その状況が続くのなら、1週間か3週間休みを取ればよい。状況に従って、遠慮なく優先順位を決めること。
 スケジュールを変更する、もしくは休みを取ることに決めた場合、その詳しい事情を説明する必要はない。更新が週に3回になりますとか、1ヶ月したらもどってきますといった簡単なアナウンスを行えば十分である。オーディエンスも、あなたが空き時間にサイトを作っていることをわかっているし、優先順位で言えば、サイトが仕事や愛する人達ほどに重要でないのは理解している。いずれにケースでも、あなたの生活に合うようにウェブログの更新スケジュールを変えるのであって、その逆ではないのだ。
 ウェブログの更新を行う時間はたっぷりあるにも関わらず、ウェブログの更新が退屈に感じられる場合はどうだろう? 更新頻度を減らしても苦しいと感じるならどうだろう? ウェブログがあなたの人生を支配してしまったと感じ始めたら、休みを取るべきときである。サイト上で1、2週間休みを取ることを述べるちょっとしたアナウンスを行おう。詳しい説明を行う必要はない。何をするにせよ、絶えずサイトに投稿を行うようオーディエンスからプレッシャーを受けているように感じるなどと、くどくど書いてはいけない。楽しいはずの気晴らしを苦役に変えてしまったのは、まさにこういったバランスの欠けた考え方である。
 それではコンピュータに背を向けよう。
 もし1日2日経たないうちにエントリを投稿したいと思うようなら、それは良い傾向である。それはつまり、あなたに必要なのは休みだけであり、更新スケジュールを再調整すればよいということだからだ。しかし、投稿を開始するまでに丸々1週間は待つこと――実際のところ、サイトから離れる休暇が必要だったのだから。
 そうは思わず、ウェブログがなくてもまったく不自由しないかもしれない。もし休みを取り、ホッとする感じならば、どうしてホッとするのか考える時間を少し取ろう。情報のオーバーロードに苦しんでいたのだろうか? 毎日特定数のサイトを読むのが大きな負担だと感じたのだろうか? あまり面白くないと思う記事へのリンクを掲載したことはあるだろうか? 話を書くのに苦労していただろうか?
 サイトの趣旨を変えれば済む話かもしれない。「1人のオーディエンス」の考えに立ち戻り、あなたはサイトをどうしたいのか考えてみること。現在の自分のサイトよりも興味がある他のテーマ、もしくは他のタイプのウェブログがあるなら、サイトをあなたの新しいビジョンを反映すべく、作り直そう。ウェブログを写真撮影術を披露する場にしたい? やってみよう。1日に1つ記事にリンクするようにして、そのリンクから広がる意見を載せたい? 書き始めよう。時事問題でなく、笑えるニュース記事に焦点を絞りたい? 思いっきり楽しもう。
(中略)
 しかし、再び腰を据えてページを書くその日になっても気が進まないのなら、それはよく考えてみるべきときである。ウェブログが退屈なものになってしまっている。あなたが見込んだよりも投資した時間が大きいのかもしれないし、ウェブログ以外で追求したいと思う新しい趣味を見つけてしまったのかもしれない。この場合は、ウェブログはただ放って置こう。もうサイトを更新しないことをアナウンスし、それから外に出て散歩でもすればよい。
 サイトは個人用ポータルとして利用し続けるかもしれないし、たまにはエントリを投稿する気にさえなるかもしれない。一度定期更新の義務から完全に解放されると、さほど大掛かりでない規模でサイトを運営するのが楽しいのに気付くかもしれない。でも楽しくないのなら、もう完全に止めてしまおう。読者はあなたがいなくて寂しく思うかもしれないが、人生は続くのだ。結局のところ、たかがウェブログじゃないか。
 私は、多くのウェブログが、その管理者の興味が、他の、おそらくよりやりがいのある娯楽に移ったために消滅するのを見てきた。一方で、ムーブメントの初期から存在し、今なお強力であり続けているウェブログも知っている。こうしたサイトの中には、以前よりもよりゆったりとした更新スケジュールを守っているものもあれば、以前と同じように活発なウェブログもある。以前はウェブロガーだった人達が、自分のウェブログがなくて寂しいと思っているのかどうか私には分からない。彼らが今でもウェブ上に自分の小さなスポット、つまり、話を共有し、ちょっと冗談を言い、少しはHTMLを学んだあの場所を持ちたいと思っているのかは分からない。私だったらそうした諸々がないと寂しいと思うだろうが、それもいつかは変わるのかもしれない。

つまりはそういうことだ。その人がやりたいようにやってるなら、続けるのもよし、止めるのもよし。たかがブログじゃないか。

しかし、ワタシ自身は性懲りもなくまだ続けている側なので、自分が好きな書き手がブログの歩みを止めるのをいささか寂しく思うというだけだ。

ちなみにこの文章を書いたレベッカ・ブラッドさんのブログ what's in rebecca's pocket? は、先のエントリの基準で言えば△な頻度で更新を続けている。

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