- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2011/06/24
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フェデリコ・フェリーニの『8 1/2』は、昔観て、これはまだよく分からん、もっと大人になって観よう、と思っていたらおっさんになってしまっていた。
ウディ・アレンの『スターダスト・メモリー』やボブ・フォッシーの『オール・ザット・ジャズ』など『8 1/2』を準拠枠とする作品の多さにそのパワーを感じたりするわけだが、本作はそのミュージカル化の映画版である。
『8 1/2』をこよなく愛するシネフィルからすると、『8 1/2』の通俗的な翻案である本作など唾棄すべき代物なのかもしれないが、ワタシはその通俗性ゆえに楽しめた。ダニエル・デイ=ルイスがひたすらイタリア訛りの英語を喋り続けるだけで笑える。
本作はダニエル・デイ=ルイス演じる映画監督のグイドを巡る女たちが見ものの映画だが、一番良かったのはグイドの妻役のマリオン・コティヤールなのだろうが、ジュディ・デンチが貫禄十分でさすがだった。なお、ケイト・ハドソン演じる記者役は映画オリジナルのキャラクターらしいが、『あの頃ペニー・レインと』であんなにチャーミングだった彼女がこんなになって……と震えた。
本作は映画作りの破綻が原典よりもはっきりと示されるが、エンディングを無理にアレに近づけず、舞台的な終わり方にしているのにはほっとした。