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ワタシがNetflixで観たドラマをまとめておく(2022年秋~2023年夏編)

yamdas.hatenablog.com

以前からやっている Netflix で観たドラマ(Netflix 独占配信でないものも含む)の振り返り企画を今年もやらせてもらう。そろそろ8月も終わりだからね!

基本的に新しく見始めたものだけ取り上げ、シーズン継続のたびには書かないが、例によって今回も例外がある。

模範家族(Netflix

韓国版『ブレイキング・バッド』かなと観始めたのだが、4回くらいで止めてしまった。悪くはないし、物語としての密度もあったと思うが、なんというか話の展開が遅く感じられたのか。


ザ・クラウン(NetflixWikipedia

Netflix を代表するドラマなのは知っていたが、今から何シーズンも追いつくのはキツいよなー、という感じだった。が、昨年エリザベス女王の逝去があり、重い腰を上げた。そういうのはワタシだけではなかった模様。現在第3シーズンの佳境を迎えている。

最初のほうは、正直、何が悲しくて英王室メンバーの恋愛模様を見なきゃならんのかと思うところもあったが、女王が老害チャーチル首相を叱責するS1E7「知識は力なり」、S2E8「親愛なるケネディ夫人」といった、エリザベス女王が自身の無知を自覚しながら、それでも内面の強さを見せる回が山場になっている。

しかし、S2の最終話「謎の男」は、「20世紀最大の英政界スキャンダル」プロヒューモ事件にフィリップ殿下が関係していたという筋に仰天した。ワタシが英国の歴史に疎いので知らないだけなのかもしれないが、これはさすがにフィクションだからでは済まない話なので、何かしらの確証があるのだろう。

またこのエピソードで、ハロルド・マクミラン首相が、自分が風刺されているという話を聞いて「ビヨンド・ザ・フリンジ」の舞台を観に行き、マクミランが客席にいることに気づいたピーター・クックに面と向かって物まねとともにこきおろされ、周りの観客大爆笑の場面はさすがにフィクションだろうが、モンティ・パイソンの破壊的な笑いの先駆であるピーター・クックを終生、真の天才と尊敬し続けるジョン・クリーズにこの回の感想を聞きたくなった。

ミッドナイト・クラブ(Netflix

マイク・フラナガンNetflix ドラマでは『真夜中のミサ』に続く作品となった。彼の場合、フラナガン組と言いたくなる役者が何人もいるが、本作の場合、若年層のがん患者のホスピスが舞台になっているため、必然的になじみのない若いキャストが多く出演しており、それが確かに新鮮さをもたらしている(ルース・コッドが特に良かった)。

しかし、ホラー作品として『ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス』や『真夜中のミサ』のような衝撃はなかった。10月に配信になる『アッシャー家の崩壊』を最後にマイク・フラナガンは Disney+ に移っちゃったのは残念ナリ。


リコリス・リコイル(公式サイトNetflixWikipedia

観測範囲で本作を激賞する人が何人かいたので観た。すごくハマるというわけではなかったが、面白く見た。

ただ、残り回数をなぜか勘違いしたまま観ていて、えっ、ここで終わりなの? とヘンな感じで終わってしまったのが、完全に個人的な事情なのだけど心残りだった。

ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋(NetflixWikipedia

ギレルモ・デル・トロがホストを務めるホラーアンソロジーということで楽しみだったが、良かったですね。恐怖の玉手箱や。

クトゥルフ神話ものの原作が多いが、E2「墓場のネズミ」は、原作であるヘンリー・カットナー「墓場の鼠」を子供の頃読んで大好きだったので懐かしかった。E4「外見」は意外な終わり方がよかった。全体的に遠慮なく異形のものを繰り出しながら、ギレルモ・デル・トロ自身の短編が原作の最終話「ざわめき」でホラーとしての水準を引き上げている感じ。


舞妓さんちのまかないさん公式サイトNetflixWikipedia

是枝裕和が監督・脚本ということで期待したし、実際是枝オールスターズな配役になっており、力を入れて制作されたのが伝わるのだけど、是枝裕和自身が声明を出している花街の問題がちらちらと気になって、どうも没入できなかったのが悔やまれる。ワタシらしくもないが本当だから仕方がない。

ドラマのフォーカスがもっと思いっきり料理寄りな、チープな作りのほうが気楽に楽しめたかもしれないが、それなら是枝裕和が監督する意味もないわけで。

役者では蒔田彩珠がよかった。


伊藤潤二『マニアック』(公式サイトNetflixWikipedia

伊藤潤二のファンとして、彼の作品がたっぷり映像化されるのは嬉しかったが、このように忠実に作られた本作を観ると、正直、彼の代表作の時代設定、舞台設定の古さも見えてしまった感がある。


ザ・プレイリスト(Netflix

Spotify 創業時代がテーマのドラマだが、評判通り、とてもよくできている。ダニエル・エクだけでなく、エンジニア、弁護士、既存の音楽業界の重役といったそれぞれの視点から描いている構成もうまい。

そして、最後に話が本当にありそうな「未来」まで進むことに驚かされた。最後のカットが入るところの意図は分からんかったが。

BEEF/ビーフNetflix

今をときめく A24(ケッ)が手がける、主要登場人物がすべてアジア系のドラマで評判になっていたので観てみた。

確かにこれはよくできているし、2人の運転手の運転トラブルから始まったもめごとが転がりに転がる過程で、アジア系アメリカ人の「成功者」である中国系女性と「負け犬」の韓国系男性のそれぞれの事情と共通点が浮かび上がる作りはうまかった。

登場人物がアジア系で A24 制作ということで、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』を連想するが、あれよりも本作はずっとアジア系移民2世の世代間トラウマを掘り下げており、白人優位社会におけるモデルマイノリティとしてのアジア系の行儀の良さに中指を立てる最後の破壊的な展開は必然なのだろう。

まぁ、正直そこまで好みではないし、ディテールの面でワタシには分からんところもあったはずだが、最終的には普遍的な実存の問題までいきついている作品だと思う。


メイドの手帖(Netflix

故郷で行きつけのバーのマスターと、そこで会う女友達のおススメということで軽い感じで観始めたら、とにかくツラいドラマでびっくり。

低賃金労働をこなしながらなんとか娘との生活を成り立たせようとするシングルマザーを描くこの作品を2023年に観るのはちょっと辛すぎるのだけど、逆に言うと、これは2021年のコロナ禍の空気におそらく意図せず見事にマッチしてヒットしたドラマなのだろう。

アンディ・マクダウェルは、ワタシが高校時代、はじめて女性と2人で観た映画『グリーン・カード』で主演だった人だが、あれからおよそ30年経ち、双極性障害を抱えるとにかくどうしようもない主人公の母親を演じているのが勝手に感慨深かった。

サンクチュアリ -聖域-(NetflixWikipedia

主役の一ノ瀬ワタルをはじめとして、力士役を演じる俳優の身体を作っているのは見事で、これまた今の日本のテレビドラマではありえない時間と金のかけ方がされているのは間違いない。

そこはよい。相撲部屋の前時代性の描き方も悪くない。稽古の描写がおかしいというのはあるだろうが、ワタシには分からない。いきなりスポ根になってしまう後半の展開もよいでしょう。

だいたい序二段の相撲がそんな注目集めるわけはないだろとかツッコミはいろいろ入れられるだろうが、主人公のために土下座までしてしまう女性相撲担当記者になんだそれと緊張感が切れてしまった。次シーズンまでは観ると思うが。


ブラック・ミラー:シーズン6(Netflix

本作については、以前S5までの全23作のランク付けについてネタにしているが、S5がはっきり失速していたので、もう期待はできないなと半ば諦めていた。

それが最新シーズンでは、E1「ジョーンはひどい人」、E2「ヘンリー湖」の両方で配信元の Netflix に中指を立てるという新機軸を打ち出していて、チャーリー・ブルッカー恐るべしと思った。特に前者の内容が、生成AIの大ブレイクと見事に波長が合っていたのが大きい(劇中、AIという言葉は使われなかったはずだが)。

あと、E5「デーモン79」もすごく良かったな。 アーロン・ポール主演のE3もそう……E4だけが駄作だったということか。

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