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2021年下半期にNetflixで観た映画の感想まとめ

yamdas.hatenablog.com

これをやったのだから、2021年下半期についてもやっておかないとな、と2022年1月も後半になって思い出した次第。

例によって、Netflix で観た新作もしくは近作の映画を(Netflix 制作に限定せず)まとめて書いておく。

ジェラルドのゲーム(Netflix

実はこれは2021年前半に観たのだが、なぜか前回のリストに入れるのを忘れていた。

『ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス』以来、マイク・フラナガンには高い信頼を置いているが、これも『ドクター・スリープ』と同じく(時系列的には本作が先だが)スティーヴン・キング作品の良質な映画化である。

空気階段のコントみたいなシチュエーションからどう脱するかというワンアイデアで引っ張る映画かと思いきや、夫と父親の両方からの束縛からの解放の映画で、幻覚の使い方も効果的だが、出てくる不気味な男の意味がちょっと分からなかったな。

マイク・フラナガンというと、昨年やはり Netflix で観たドラマ『真夜中のミサ』が衝撃的でですね――


フィアー・ストリート Part 1: 1994(Netflix

最初のほうにある主人公の性的嗜好に関する簡単な映像トリックにひっかかるくらい何の予備知識もなく観たのだけど、Netflix で三週連続新作配信というイベントに乗った形である。

1994年が舞台だが、だいたいその頃に制作された映画『スクリーム』を連想した。となると、マヤ・ホークは『スクリーム』におけるドリュー・バリモアにあたるわけで、彼女も出世したものだ。

ケイト役の Julia Rehwald という人が Mitski に少し似ててすごく好みだったのだが、しかし、この人 Wikipedia に項目は立ってないし、IMDb を見ても、このシリーズくらいしか出演作がない。なんなんだ、この人?


フィアー・ストリート Part 2: 1978(Netflix

前作のマヤ・ホークに続き、本作の主人公をセイディー・シンクが務めており、なんというか『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のキャストに Netflix が役をあてがうためのシリーズに思えてくるよ。セイディー・シンクが好みではないので、本作もそれなりだった。

彼女の役名はジギーで、当然デヴィッド・ボウイの曲もかかるのだが、特にそれ以上の意味合いを感じさせず、なんなんだよという気になる。そのかわり、カンサスの曲がいくつか使われていて意外に合っていた。

フィアー・ストリート Part 3: 1666(Netflix

タイトルに掲げられた1666年の話は半分ほどで、以降はパート1の時制に戻り、パート2の登場人物とあわせて大団円となるが、さすがにここまでくると鈍いワタシも本シリーズの構造主義というか、シャディサイドとサニーヴェイルという二つの町の格差、特にサニーヴェイルの「呪い」こそが制度的な人種差別のメタファーなのは分かる。

最終的に本作で、同性愛差別と白人至上主義という二つの呪いに対して主人公たちが勝利するわけだが、甘っちょろいよね。まぁ、ワタシはやはりイベント的というか、ホラーアクション映画として楽しみました。

ブラッド・レッド・スカイ(Netflix

本作のことは米光一成さんの記事で存在を知ったが、「できれば何も知らずに観てほしい」と冒頭にあるので、そこで記事を読むのを止めて観てみた(これから観る人は、下にはった予告編動画も観ないのを勧めます)。

映画が飛行機(や空港)が映画の舞台となる場合、作品ジャンルはハイジャックが絡むサスペンス、パニックもの、アクションになるのが通例である。本作にはハイジャックもサスペンスもパニックもアクションもあるのだけど、作品ジャンルはまぎれもなく「ホラー」なのである。

それについて書き出すとやはりネタバレになっちゃうのでここまでとするが、確かにこんなハイジャック映画は観たことない。個人的にはハイジャック犯にいくらキレたヤツがいたにせよ、ためらいなくあれをやっちゃうのはありえんだろというのがひっかかったが、米光一成さんがおススメする、本作を手がけたペーター・トアヴァルト監督の他の作品も観てみるか。


THE ART OF SELF DEFENSE

今、調べたら Netflix で観れなくなっていた……。作品の存在を知ったのは KingInK だったはず。

大人の『コブラ会』というか、『ファイト・クラブ』的な不穏な物語の転がり方もある。独特の頑なさと神経質さを持つ主人公がジェシー・アイゼンバーグにピッタリだったね。


ハッピー・デス・デイ(Netflix

加野瀬未友さん(id:kanose)が推してたので作品名が記憶に残っており、Netflix に入っているのに気づいたので観てみた。日本公開が2019年の映画なので、この枠に入れさせてください。

ホラーコメディなループものだけど、実は青春恋愛映画だったりする。ループは今や一つのジャンルといえるほど映画、ドラマ問わず多いが、本作はかなり楽しめた。「主人公を殺すのは誰だ?」という謎解きとともに、最初かなーり好感度が低い主人公をだんだんと応援したくなる演出がうまい。

ハッピー・デス・デイ 2U(Netflix

前作が予想外に面白かったので続編も観てみた。本作もやはりループものだが、その原理の説明がいかにもB級SFでニヤリとなる。映画としての謎解きは本作のほうがしっかりしていてやはり楽しんだのだけど、恋愛映画としてとても良かった前作のほうがワタシは好みだった。

ドロステのはてで僕ら(Netflix公式ページ

この映画は、確かツイッターのタイムラインで公式アカウントのツイートをひとつ見ただけでピンときて観てみた。その時は本作のことを韓国映画と思い込んでいて、つまりは映画についての事前知識がほとんどない状態で観た。

観始めてから一分で、ワタシが本作について(邦画ということを除いて)二つのことを確信した。それは本作が舞台劇の映画化であること、そして本作の舞台が京都であること。両方とも正解だった。別に映画の中に自分の知った店が映りこんでいたのでもないのになぜだろう? またそれは本作にとって良いことなのだろうか。

長回しを特徴とする低予算映画というので、『カメラを止めるな!』を連想する人もいるだろうが、本作にはゾンビのかわりに SF スパイスがある。ランニングタイムも70分と短いので、気軽に楽しめる。


浅草キッドNetflix

ビートたけしの自伝小説の何度目かの映像化だが、本作は松村邦洋の所作指導を受けた柳楽優弥の単なる物まねでない憑依ぶりがすごくてひきつけられる。しかし、ワタシもこの歳になると、たけしの師匠の深見千三郎目線でしかこの話を観れなくなる(そういえば、演じている大泉洋が同年で、そういう歳になったんだね……)。

映画としては、ビートたけしの漫才の革新性というか、どうしてブレイクできたかの描写が物足りなくて高くは評価できないが、前述の深見千三郎が本作の実質的な主人公というのもあり、泣いてしまった。


ドント・ルック・アップ(Netflix

実は本作は今年の正月に観たのでこれに入れるべきではないのだが、やはりここまでが2021年ということにしたい。

本作はオスカー受賞経験者がキャストに確か4人おり、そうしたメジャースターが揃った上にロン・パールマンまでらしい役をやるオールスターキャスト映画で、それだけ Netflix が力を入れた作品なのだろう。が、コーエン兄弟アカデミー賞を獲得した後にオールスターキャストで作った『バーン・アフター・リーディング』を思い出すバカ映画だった。

本作については評価する人とボロカスに言う人が両方で、ワタシの見た感じ、その勢いでボロカスに言う人のほうが強い印象があり、やはり掛け値なしのバカ映画ぶりに怒っているようお見受けする。しかし、そのバカさ加減というか愚鈍さこそが本作のキモなのよね。

COVID-19 でひどいことになったアメリカ社会をがっつり風刺した(もともと監督の頭にあったのは気候変動問題のようだが)本作を、ワタシはコメディの傑作と評価する。登場人物はだいたいにして軽薄だが、まったく事態に向き合おうとしないアメリカ合衆国大統領演じるメリル・ストリープをはじめ、ティモシー・シャラメが Twitch のアカウント名を言い出してジェニファー・ローレンスに制されたり、本当のラストでのジョナ・ヒルの台詞といい細かいところまで笑わせる。

AppleGoogle のトップをかけあわせた感じのビッグテックのトップを演じるマーク・ライランスの描き方が、今のアメリカにおいて憎悪の対象であるビッグテックの立ち位置を反映しているようで興味深かった。

ドタバタの末に主人公たちが家に集まるラストにリチャード・マシスンの「終わりの日」、またそこでの「できることは全部やったじゃないか」な台詞にスティーヴン・キングの『デッド・ゾーン』を思い出し、不覚にもワタシは涙してしまった。この映画で泣いたのは世界中でワタシくらいかもしれんが。

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