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アステロイド・シティ

ワタシの住む福岡で、本作は行きつけのシネコンではやっておらず、博多駅にあるTジョイ博多か、天神にある Kino Cinema 天神に行かないといけない。それはいいのだが、公開初週でもいずれもレイトショー時間帯の上映がない! しかもTジョイ博多なんか1日1回のみ上映で、必然的に Kino Cinema 天神しか選択肢がなくなる。

福岡でアートシアター系、ミニシアター系の映画館というと、四半世紀前はそれなりにあったが、いつの間にか KBC シネマしかなくなっていた(一部、その役割を補完していた中洲大洋映画劇場は、建物の老朽化に伴い来年3月末を持って取り壊すことが発表されている)。Kino Cinema 天神は、そうした意味でありがたいのだけど、入居している商業施設にとにかく客が入ってなくて不安になる。天神にバスで行っても、電車で行っても、降りてから10分以上歩く必要があり、上映時間のタイミングやコロナ禍などいくつかの要素が重なり、今回初めて出向くこととなった。

で、シアターに入り、最初に思ったのは、「スクリーンちっちゃ!」だった。まさか前から6列目の席で、「字幕ちゃんと読めるかな」と不安になるとは思わなかった。

さて、本作だが例によってウェス・アンダーソンの鉄壁の箱庭映画で、前作『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』に続いて、途中ちょっと寝ちゃった。まぁ、彼の映画にある美点は本作にもあったと思います。例えば、必ず2時間未満で終わるとか(笑)。

途中、えらくマット・ディロンに似た俳優が出ているなと思ったら、本人だった。ウェス・アンダーソンというと、毎回オールスター映画になり、本作も例外ではないが、良かったのは初顔合わせに近いスカーレット・ヨハンソンだった。彼女は本当に良い女優であり続けているよね。

本作は戯曲のドラマ化という入れ子構造になっていて、そのあたりウェス・アンダーソン映画の箱庭性の面目躍如だが、それが観客のストーリーへの没入を定期的に妨げる以外に効果を発揮しているのは、最後の主人公とその妻役の女優が向かい合う場面くらいだったんじゃないかな。とにかく静的というか、想定外の出来事が起こらず、まがいなりにもアクションがあった彼のアニメ作品や『グランド・ブダペスト・ホテル』が懐かしくなった。

でも、最終的には満足してるんだよな。本作では、いきなり歌と踊りが始まってしまう場面が良かった。

そういえば、少し前に彼は日本映画について語っていたが、まさか彼の映画で植木等を見ることになるとは思わなかったな。

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