キーチ・ヘイギーの『サム・アルトマン:「生成AI」で世界を手にした起業家の野望』のことは今年の5月に紹介しているが、遂に来月刊行される。
この WIRED の記事は、その抜粋を引用して「AI革命を準備した第三の男」としてエリーザー・ユドコウスキーのことを紹介している。日本では、少なくともサム・アルトマンやピーター・ティールほどの知名度がないので、タイムリーな記事だと思う。
エリーザー・ユドコウスキーは AI 悲観論者(doomers)の代表的存在だが、性格の悪いワタシがこの記事を読んで感じるのは、楽観論者、悲観論者に関係なく TESCREAL バンドルの薄気味悪さである。
これらが単なるリバタリアンの思想を超えている、と思った人は正しい。実際そうなのだから。『WIRED』の記事の冒頭に、エクストロピー主義者の会合の様子が書かれている。ある参加者は「国家」のコスプレで現れた。ビニールのビスチェにミニスカート、メタルチェーンの上着を身につけて、乗馬の鞭を持ち、四つん這いになって首に鎖を付けた「納税者」を引きずっている。
サム・アルトマン、ピーター・ティールと共にAI革命を準備した第三の男──エリーザー・ユドコウスキー | WIRED.jp
それはともかく、エリーザー・ユドコウスキーとピーター・ティール、あとシェーン・レッグやデミス・ハサビス(DeepMind の共同創業者)のつながりが分かって興味深い。
今回の WIRED の記事がタイミングいいなと思ったのは、(なぜか記事では触れられていないが)ちょうどエリーザー・ユドコウスキーの共著 If Anyone Builds It, Everyone Dies が今月出たばかりだから。
「誰かがそれを作ったら、みんな死ぬ」という書名がいかにも AI 悲観論者のユドコウスキーらしいが、ここでの「それ」は人工超知能(ASI)のことである。
AI 加速主義者も AI 悲観論者も同じ穴の狢というワタシ個人の見解はどうでもいいとして、これは来年あたり邦訳出るんじゃないですかね。