ロバート・アルトマンの復活作『ザ・プレイヤー』の冒頭8分6秒に及ぶ長回しの中で名前が挙げられたときから観たかった映画である。『ザ・プレイヤー』において言及されているのは、言うまでもなく本作における二度の長回しを意識してのことである。そのあたりについてははじめちゃんのシネマスクラップに詳しいが、確かに本作のカメラは冴えまくっており、オーソン・ウェルズは雇われ仕事という制約の中でしっかり力を発揮している。もっとも、この映画についても映画会社が勝手に尺を短くしたせいで、ウェルズは抗議しているのだが。完全版だって2時間弱なのにどうして勝手に編集したのかねぇ。
ただシナリオ的にはどうだろうと思うところもあり、警察側の登場人物が整理されていないように感じられるところや、冒頭のダイナマイトとその犯人を巡る捜査が途中から背景に退いてしまうため、最後に明らかになる事実が皮肉として十分に効いてない嫌いがあるように思う。
これはお笑いパソコン日誌でも指摘されていた DVD の PAL 方式から NTSC 方式へのコンバートによる時間短縮のせいなのか、早い台詞の応酬の際に字幕を読み取るのが白黒映画だと厳しくて、正直、前半観てて少し疲れてしまった……あ、これ単なる老化現象かもしれませんな。
とはいえ、それに慣れると、役者もチャールストン・ヘストンとウェルズの対決、そして闊達なジャネット・リー、大御所マレーネ・ディートリッヒなど豪華な組み合わせを堪能できました。