さて、ジョー・ディマジオの後にマリリン・モンローと結婚したのがアーサー・ミラーだが、この偉大な劇作家も先日この世を去った。ジョー・ディマジオがアメリカの一面を体現していたならば、アーサー・ミラーはまた別の一面を作品を通じて表現したといえる。
彼の最も有名な作品となるとやはり『セールスマンの死』か。しかし、ワタシはこれの舞台を観たことがなく、映画版を観ただけなのだが、ワタシが嫌いなアメリカ人の騒々しさを体現するダスティン・ホフマンの演技はやはり達者だし、ジョン・マルコビッチが息子役を演じているのも面白かった。しっかりした出来の割りに知名度が低いのは(DVD 化もされていない)、劇場公開映画でなかったというのもあるが、何より体力を要する作品だからかな。観終わると結構ぐったりとくる。
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- 発売日: 1988/04/22
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そういえば、『ハッカーと画家』の中にもアーサー・ミラーの名前は登場する。
もうひとつの反撃法は、メタファを使うことだ。アーサー・ミラーは、セイラムの魔女裁判を描いた戯曲『るつぼ』を書くことで、非米活動委員会(House Un-American Activities Committee, HUAC)を揶揄した。もちろん、彼は直接に委員会を名指しして発言することは決してなかったから、委員会もどうすることもできなかった。だってHUACはセイラムの魔女裁判を弁護するわけにもいかなかったからね。それでも、ミラーの比喩は実にうまくはまったので、今日でもHUACの活動はしばしば「魔女狩り」と呼ばれる。
(中略)アーサー・ミラーは後に書いている。「『るつぼ』を書き通せたこと自体は嬉しく思っている。でも振り返ってみると、馬鹿げた喜劇にすれば良かったと思うことが時々ある。実際、ほんとうに馬鹿げた時代だったよ」(52ページ)