町山智浩アメリカ日記で面白い発言を見かけた。映画『サイドウェイ』の監督アレクサンダー・ペインによる、アカデミー賞脚色賞受賞についてものである。
脚色賞とか脚本賞は、ハリウッドのメインストリームが受け入れられない反逆児に、これでもやっとくか、という気持ちでおためごかしに与える賞だよ。タランティーノだって取ってるだろ
調べてみると、確かにアレクサンダー・ペインの言う通りなのである。アカデミー賞脚本賞か脚色賞、あるいはその両方が、秀作ではあるが賞レースの本命ではない作品に与えられている。名前が挙がっているタランティーノが脚本賞を受賞した1994年から最近10年ほどを見てみる。
- 1994年:脚本賞 『パルプ・フィクション』 クエンティン・タランティーノ、ロジャー・エイヴァリー
- 1995年:脚色賞 『いつか晴れた日に』 エマ・トンプソン
- 1996年:脚色賞 『スリング・ブレイド』 ビリー・ボブ・ソーントン
- 1997年:脚本賞 『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』 ベン・アフレック、マット・デイモン
- 1998年:脚色賞 『ゴッド・アンド・モンスター』 ビル・コンドン
- 1999年:脚色賞 『サイダーハウス・ルール』 ジョン・アーヴィング
- 2000年:脚本賞 『あの頃ペニー・レインと』 キャメロン・クロウ
- 2001年:脚本賞 『ゴスフォード・パーク』 ジュリアン・フェロウズ
- 2002年:脚本賞 『トーク・トゥ・ハー』 ペドロ・アルモドバル
- 2003年:脚本賞 『ロスト・イン・トランスレーション』 ソフィア・コッポラ
- 2004年:脚本賞 『エターナル・サンシャイン』 チャーリー・カウフマン
- 2004年:脚色賞 『サイドウェイ』 アレクサンダー・ペイン ジム・テイラー
「反逆者」という言葉に似つかわしくない人もいるが、例えば名女優エマ・トンプソン、有名小説家ジョン・アーヴィングにしても、映画の脚本を手がけるのは上に挙がる作品がはじめてであった。それぞれマイケル・ケインとロビン・ウィリアムズが助演男優賞をとっている『サイダーハウス・ルール』と『グッド・ウィル・ハンティング』を除けば、上に挙げた作品のいずれもその年の賞レースにおいて脚本賞(脚色賞)だけしか受賞できてない(allcinema で調べただけなので抜けがあるかもしれない)。
そして今年は脚本賞、脚色賞のいずれもそういう作品だったわけで、この二作については是非見に行こうと思うのだった。特に『エターナル・サンシャイン』は、何と言ってもチャーリー・カウフマンの脚本で監督がミシェル・ゴンドリーだし。