当ブログは YAMDAS Project の更新履歴ページです。2019年よりはてなブログに移転しました。

Twitter はてなアンテナに追加 Feedlyに登録 RSS

イエスメン 〜大資本と闘うお笑いテロリスト〜

「松嶋×町山 未公開映画祭」においてレンタルした(予告編)。

思えばイエスメンの映画を通して観たことがなかったので、これ幸いと観てみた。

彼らのような活動を「カルチャー・ジャミング」と言うらしい。映画の冒頭イエスメンの基本理念が「正体の暴露」であると宣言されるが、この映画におけるその暴露の対象は WTO世界貿易機関)だ。

エスメンの二人が WTO になりすまして講演やテレビ出演をやらかすわけだが、シエスタの廃止などを盛り込んだパロディ講演がすんなり受けてしまった話が象徴的で、彼らのやり口はかなりスマートでないとできないのだが、それだけでは笑えない。

それを自覚する二人は、途上国の労働者をどんなときでもチェックできるという触れ込みの「ボスの休日用スーツ」を講演の途中に披露するのだが、明らかにこのおバカな衣装が(困惑含みとはいえ)やはり受け入れられてしまう。権威主義というのは恐ろしい。

続いての学生相手の講演では、最初にハンバーガーを配って食わせておいて、画期的なエネルギー再生食を提案するが、その悪趣味さにうげっとなった後さすがに怒り出す客席の学生の反応が楽しい。

そして、最後に WTO おちょくりの完結編として行った二人の最後のいたずらとは……もちろんここには書かないが、講演後に笑顔でインタビューを受ける観客たちの発言をもってこれは見事に完成した。

観ているほうがハラハラするサシャ・バロン・コーエンなんかの後ではイエスメンのいたずらはやはりスマートすぎるのだがその行動力はやはりすごいし、またその仕掛けの裏側の手作り感覚も見れるのは面白かった。

[YAMDAS Projectトップページ]


クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
YAMDAS現更新履歴のテキストは、クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。

Copyright (c) 2003-2023 yomoyomo (E-mail: ymgrtq at yamdas dot org)