First Monday の最新号に "Free as in sexist" Free culture and the gender gap という論文が掲載されている。
著者は Joseph Reagle で、Wikipediaコミュニティ文化考察本『Good Faith Collaboration』の著者でもあり、要は Wikipedia などフリーカルチャーに精通した人である。
Abstract をざっと訳しておく。
自由とオープン性のありがたみにも関わらず、フリーカルチャー運動のジェンダーバランスは、その元となったコンピュータ文化のジェンダーバランスと同じくらい(あるいはそれよりもっと)歪められている。6年にわたろフリーカルチャー運動内部のジェンダーと性差別についての会話を収集し、分析した結果に基づき、私は考えられる要因を三つ挙げる。(a) 一部のギークのアイデンティティーが幅を狭め、魅力がない可能性。(b) オープンコミュニティは特に、扱いにくい人間の影響を受けやすい。(c) 自由とオープン性の理念が、好みと選択の問題として、懸念を退け、ジェンダーギャップを正当化のに利用される可能性。
こうしてフリーカルチャーや FLOSS 界隈におけるジェンダーギャップについての分析がなされていくのだが、確かにこれは昔からずっと言われてきた問題である。
それが問題でなければ女性を Linux に招くための HOWTO なんて文章がわざわざ書かれるわけはないし、Wikipedia が女性からの貢献を増やそうとするわけがない。
そして、この問題こそ Aaron Swartz がインタビューで強調していた話でもある。詳しくは論文を読んでくださいな。
なお、First Monday の最新号にはこの他にも Third-person effect and gender in online gaming というジェンダー絡みの論文が掲載されている。
Good Faith Collaboration: The Culture of Wikipedia (History and Foundations of Information Science)
- 作者: Joseph M. Reagle Jr.,Lawrence Lessig,Jonathan Furner,Michael Buckland,Markus Krajewski PhD
- 出版社/メーカー: The MIT Press
- 発売日: 2012/09/14
- メディア: ペーパーバック
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