- 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
- 発売日: 2015/11/03
- メディア: Blu-ray
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敬愛するテリー・ギリアムの新作にこういう言葉は使いたくないのだが、端的に言ってクソつまんなかった。
ギリアムの前作『Dr.パルナサスの鏡』は、大分「戻ってきた」感じがあった。本作は題材的には『未来世紀ブラジル』を思わせるものがある。まぁ、『ブラジル』の夢ふたたびとはいかなくても、それの現在版を見せてくれればと思ったのだが。
本作もビジュアルイメージは見事で、近未来のセットも単にクリーンなハイテクでなく微妙にアンバランスな感じで手間がかかるようなごちゃごちゃした感じをうまく組み合わせているところなどいかにもギリアムらしくて良いし、本作の場合通行人を追いかけていく広告や、広場にあるとんでもない数の禁止事項の注意など単なる『ブラジル』の焼きまわしでない現在的な要素もいくつか含まれている。
しかし……脚本が凡庸なのか、『ブラジル』などギリアムの初期作にあった興奮はなく、オンラインセックスの場面に代表される繰り返しなどはっきり退屈だった。そうした意味で、ギリアムの夢が基点となったストーリーに、「官僚制の腐敗」といった分かりやすいフックを持たせたトム・ストッパードの偉大さを逆説的に感じてしまった。あ、ティルダ・スウィントンのアレは笑ってしまったし、ラストのレディオヘッドも悪くなかったけど。
本作の主演はクリストフ・ヴァルツだが、彼にしては生真面目に演じすぎてるきらいがある。ワタシがこれまで観たクリストフ・ヴァルツが出ている映画はどれも面白かったので、彼が出ていても面白くない映画があるんだな、と当たり前のことに気付いたりした。