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ある戦慄

ある戦慄 [DVD]

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町山智浩さんがラジオで紹介していて知った映画である。

日曜の深夜、マンハッタンに向かう地下鉄に乗り合わせた人たちがチンピラ二人組に散々いやな目にあわされる映画である。

構成として最初、チンピラ二人組の放埓さを示し、次に地下鉄に乗り合わせることになる年齢も立場も異なる人たちの背景をそれぞれ描き、そして地下鉄での密室劇でいやーなクライマックスを迎えるわけである。

活きのよいチンピラ二人組の片割れがかのマーティン・シーンだったりする。ここではチンピラだった彼も、その後ベトナムに従軍し、カーツ大佐を暗殺した後は政治家をこころざし、一度は政治家生命を絶たれかけるものの、大統領にまでのぼりつけるわけである(なんかいろいろ混ざってるぞ!)。しかし、本作の主人公はもう一人のチンピラを演じるトニー・ムサンテのほう。

このチンピラ二人組が、乗客たちの職業や人種やセクシャリティに関する弱点を突く頭脳プレーと力の示威という DQN 的な面の両方でいやーな目にあわせるのだ。この地下鉄での密室劇における演出がうまくて、最後に意を決して立ち上がった兵士に対してチンピラがナイフを取り出したときの兵士の表情とか、警察が電車に押し入ったときにまずとる行動、そして事態が片付いてからようやく彼にかけよった同僚に対する兵士の台詞など細部に魅力がある。

まぁ、個人的にはニューヨークでは50年近く前に午前三時過ぎに普通に電車が出てたのか! しかもこんなに乗客が多いのかという点にワタシなど驚いてしまったが。

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