TranNet のオーディション課題でちょっと興味をひく本があった。
世界には約40カ所も「本の街(Book Towns)」と言われる地域がある。本書ではそれらの具体的な場所、歴史、魅力を美しい写真と共に紹介。旅行に役立つアドバイスもする。日本が誇る本の街、神保町も掲載。
オーディション課題概要
これは面白そうじゃないか。2018年前半には邦訳が出るだろうから、マガジン航あたりで取り上げてほしいところ。
- 作者: Alex Johnson
- 出版社/メーカー: Frances Lincoln
- 発売日: 2018/04/05
- メディア: ハードカバー
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- 作者: Alex Johnson
- 出版社/メーカー: Frances Lincoln
- 発売日: 2018/04/19
- メディア: Kindle版
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Wikipedia にも Book town の項目があって、しかし、その日本語版は古書店街になっており、ちょっと違う気がする。
そのあたりを考えていて、筒井康隆が昔書いていた文章を思い出した。『笑犬樓よりの眺望』を調べてみたら、「過疎地に出版文化都市を作ってはどうか」だった。
その文章は、ベルギーの人口450人の過疎の村ルデュで、ある本好きの退職サラリーマンが古書店を開いた。それがきっかけで書店が増え、専門化し、それ目当てにやってくる本好きが増え、そのうち出版社が常設書店を開き、作家が来て文化講演会を開くような「本の村」となったことを伝える朝日新聞の記事の話から始まる。
さて、上で紹介した Book town のリストの中に、もちろんそのルデュも含まれているのだが、上の話を受けて筒井康隆は、「本の村」なんて小さいことを言わず、日本の過疎地に出版文化都市を作れと提案する。
具体的には、出版社や大手取次などの移転、文壇パーティができるヒルトン級のホテルの建設、税金を安くして作家を移住させる、そして有名書店の開店は当然として、目玉となるのは国会図書館の移転……とどんどんぶちあげていくのだが、これが書かれたのは1987年9月である。
嗚呼、バブル経済まっただなかだったんだねぇ。もちろん当時だってこんな構想が実現したわけもないのだが、隔世の感がある。
- 作者: 筒井康隆
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2014/05/30
- メディア: Kindle版
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