「『彼女は間違いなく社会病質者傾向がある』:エリザベス・ホームズがなんと新会社を立ち上げようとしている!」という記事タイトルに笑ってしまったが、書いているのはニック・ビルトンか。関係ないが、彼の『American Kingpin』は、結局邦訳出ないのかねぇ。
一時は時価総額が9000億円だかに達したが、後にそのインチキがバレた Theranos の創業者にして、「自力でビリオネアになった最年少の女性」とも言われたエリザベス・ホームズの隆盛と凋落については、同じくニック・ビルトンが Vanity Fair に書いた記事の邦訳「ジョブズになり損ねた女:DNA検査の寵児、エリザベス・ホームズの墜落」に詳しい。
TechCrunch や Forbes の記事にあるように、今年に入って米証券取引委員会(SEC)は Theranos を「巧妙大規模な詐欺」として告発している。
エリザベス・ホームズについては、ピューリッツァー賞も受賞したことのある調査報道記者にして、Theranos の詐欺行為を最初に暴いた調査報道で2015年のジョージ・ポルク賞を受賞している John Carreyrou が、彼女並びに Theranos についての本を出したばかりで、この記事もそれを踏まえたものである。
Bad Blood: Secrets and Lies in a Silicon Valley Startup
- 作者: John Carreyrou
- 出版社/メーカー: Knopf
- 発売日: 2018/05/21
- メディア: ハードカバー
- この商品を含むブログを見る
Bad Blood: Secrets and Lies in a Silicon Valley Startup (English Edition)
- 作者: John Carreyrou
- 出版社/メーカー: Knopf
- 発売日: 2018/05/21
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (1件) を見る
エリザベス・ホームズを「シリコンバレーの小保方晴子」という人もいるが、投資額や時価総額を考えれば、経済に与えた影響は小保方晴子の比ではないだろう。エリザベス・ホームズの恐るべきしぶとさについては昨年瀧口範子さんも記事にしているが、彼女はまったくめげてないようだ。John Carreyrou の話を聞いたニック・ビルトンは、ホームズの虚言の悪質さとそのエスカレーションに半ば呆れ、以下のように書いている。
そんな風にふるまう人を見て、しかも彼女は自身の行動が他者の生活を破壊することを完全に無視しているわけで、まず頭に浮かぶ疑問は「彼女ってソシオパス(社会病質者)なのか?」である。
そこでこの記事のタイトルになるわけだが、つまりは John Carreyrou も、エリザベス・ホームズにソシオパス傾向があると見ているわけですね(彼女はまったく反省していないどころか、Theranos の元従業員の話によると、すっかり殉教者きどりらしい)。しかも彼女は現在シリコンバレーの投資家行脚中で、新たなスタートアップのアイデアを売り込んでいるとのこと。いやはや、おぞましい話である。
John Carreyrou の本の邦訳が待たれるところ。ネタ元は Slashdot。