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7月22日

ポール・グリーングラスの新作が Netflix で配信という話はこないだ書いたが、早速観たので新作映画として感想を書いておく。

ご存知の通り、本作は2011年に起きたノルウェー連続テロ事件を題材とするものである。

この監督の作品らしく、冒頭から政府庁舎爆破、そしてウトヤ島における銃乱射を淡々と描いていく。『ブラディ・サンデー』のような映画になるのかなと思っていたのだが、犯人のアンネシュ・ベーリング・ブレイビクが69人を射殺後逮捕されるまでが143分の上映時間の最初の30分で、そこからほぼ映画一本分の時間になる。

つまり本作は、「7月22日」そのものというよりは「7月22日の後」を主に描いた映画なのである。テロ実行の描写も怖いのだが、主眼はその後にある。

犯人のアンネシュ・ベーリング・ブレイビクの不敵さが予想通り印象的だったが、彼から指名されたために脅迫を受けながら彼の弁護をする羽目になる人権派の弁護士をはじめ、この事件はいろんな人の人生を大きく揺るがす。その最たるものが事件の被害者なのは言うまでもないが、五発の銃弾を受け、脳に銃の破片が残ったままになってしまう被害者ビリヤルの苦悩が特に心を震わせる。彼がウトヤ島で語った多様性の重視は犯人の銃弾により蹂躙されてしまう。その彼が現実に立ち向かい、なんとか犯人に一矢を報いようとする姿にワタシは涙を流した。ポール・グリーングラスの映画を観て泣く日が来るとは……。

さて、ここから映画本体の感想から少し離れた話、主に Netflix Japan への文句を書かせてもらう。

本作において、ビリヤルと同じく事件の被害者である少女が物語上重要な役割を果たすのだが、彼女は事件で姉妹を亡くしている。

さて、「姉妹」と書くと、二人以上亡くしたと思わない? でも、実際には一人なのである。

どういうことかというと、英語の台詞では sister としか言わないのを律儀に「姉妹」と訳され続けるためである。しかし、おそらく彼女も実在の人物がモデルだろうから、亡くなったのが「姉」か「妹」かは調べればすぐに分かるのではないか。それぐらいのリサーチを Netflix Japan の字幕制作者に求めるのは過度の期待だろうか?(以上について、ワタシが勘違いしていたら申し訳ない)

Netflix Japan については、宇野維正さんの苦言に乗っかる形で文句を書かせてもらっているが、ネット企業なのに SNS 利用が微妙なのはなんでだろう?

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