Facebook が社名を変えてまで注力したメタバースについては、ワタシも「メディアとしてのメタバースのメッセージを(ニコラス・カーが底意地悪く)読み解く」という文章を書いているが、少なくとも Meta のメタバース事業はまだ成功の段階までは到達していない。
とはいえ、だからメタバース自体がダメということにはならないし、確かにビジネスポテンシャルがあり、これから本格的な普及期に入るのだろう。そうしたときにこの記事が指摘するような倫理面、法律面の問題が出てくるというのも間違いないのだろう。
- メタバースでは道徳に反する実験は許容されるのか?(ドイツの公共放送が日本のポルノ業界などに取材した動画が紹介されている)
- 他のアバターの身体に触れることはできるか?(やはりセクシャルハラスメントのからみですね)
- 許可なくバーチャルフィールドに入れるようになるか?(仮想世界での土地所有とそこへのアクセス権の問題)
- メタバースでアバターを殺せるか?
- メタバースで死ぬことはできるか?(ユーザが死んだら、そのアバターはどうなるのか?)
- アバターはハッキング可能か?(アカウント乗っ取りとか絶対出てくるよね)
- メタバースではどうやって「相続」が可能か?(相続税はあるのか? NFT のキャピタルゲインには税金がかかるのか?)
- 一つのメタバースで複数のアバターを使い分けてもよい?
- アバターは人間の形をしてないといけないか?
二年前にワタシは「はやくも「AI倫理」の問題が争点となってきた(し、それをテーマとする本も刊行される)」というエントリを書いているが、メタバース界隈でも法律面、倫理面での蓄積が必要になるんだろうな。
メタバースの法的問題を扱った本となると『XR・メタバースの知財法務』(asin:4502435716)があるが、倫理面を扱った本はまだないようだ。洋書でもこれが書名に入るのは、ワイリーから出ている Understanding the Metaverse: A Business and Ethical Guide くらいだった。