本作の公開日になぜかこれをやっていない県(!)にいたため、およそ一週間遅れの鑑賞となった。またその影響で、同日公開の『メガロポリス』は映画館で観れなさそうで、とほほである。本作も IMAX で観れなかったしな。
ライアン・クーグラーの映画は『クリード チャンプを継ぐ男』や『ブラックパンサー』を観ているが、本作は(フランチャイズものでなく)オリジナルの脚本作品で見事大ヒットさせたにも関わらず、日本公開は「緊急劇場公開」とやらの限定的な形になったのはなんだかな。
本作は、前半の期待感の高まり(やはりパーティーというのは始まるまでが一番楽しいんだよな)、中盤のブルースの魔力(本物の音楽は過去と未来から霊を呼ぶからって、こんな演出ありなのか! という驚きがあった)、そして後半の吸血鬼ホラー(いやー、怖かったですね)、どれも見事だった。
本作はジャンル的には当然ホラーになるのだけど、人種差別と黒人側のそれに対する抵抗が下地にあり、そのあたり「あいつら、黒人の音楽は好きなんだよ。黒人が嫌いなだけで」といった台詞にも出ているし、吸血鬼が叫ぶ「お前たちの物語を、お前たちの歌を寄越せ!」の禍々しさにつながっている。
主人公たちを襲う吸血鬼たちがアイリッシュ系というのも当然意図的なはずで、襲う側、襲われる側、それぞれに豊かな音楽があり(吸血鬼たちの歌もよくできている)、その混合からロックンロールが生まれたという歴史をどうしても連想してしまう。
エピローグにあの人が出てくるのも、その最後もちょっとした驚きだった。