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2025年上半期にNetflixで観た映画の感想まとめ

yamdas.hatenablog.com

2021年以来半年ごとにやっている、Netflix で観た映画の感想まとめを2025年上半期についてもやっておく。

しかし、この上半期は、前にも増して観た映画が少ない! 昔の映画は入れず近作のみ、しかし公開から10年未満だったら近作、と基準を緩めさせてこれなのだからいかんねぇ。

セキュリティ・チェック(Netflix

2021年は『ドント・ルック・アップ』、2023年は『終わらない週末』と Netflix はその年の終わりに観るべき映画を配信していたイメージがあった。それが2024年は本作なのは、一時期のオスカー狙いの後退とともに Netflix の方向転換を象徴しているように思う。

こう書くと批判しているようだが、そういうわけではない。空港が舞台のアクションスリラー、しかもクリスマス映画という意味で『ダイ・ハード2』を連想させる本作は、Netflix が本来目指すべきエンタメプラットフォームの方向性に合致する優れた娯楽作である(ワタシは年が明けてから観ちゃったけど)。

本作は、なんといってもジェイソン・ベイトマンの悪役ぶりが見事だったね。彼に脅迫され、ひたすら振り回されながら奮闘するタロン・エガートンもよかったけど、彼の走り方は『T2』のロバート・パトリックを意識しているのかな、とちょっと思った。


オクジャ/okja(Netflix

『ミッキー17』を観たあとで、思えば自分はポン・ジュノの映画、そんなに観てないよなと思いあたって、Netflix で観れる本作を観てみた(だいぶ前に『母なる証明』を Netflix で観た気がするのだが、今はもうなくなっている)。

いや、これは面白かった。最初のほうで、これはやはりトトロの影響もあるんだろうかと観ていたが、後半スーパーピッグに関するかなりエグい描写もあるのが印象的だった。クライマックスとなるスーパーピッグコンテストを衆人環視の中やるわけないだろとか思うところもあったけど。


新幹線大爆破Netflix

正直パスしようかと思ったけど、やはり話題作であり、SNS でイヤなネタバレ踏む前に素直に観ておくほうがよかろうと判断した。のんさんが運転士役で出ているのを知ったのもある。

オリジナル(ちょうど50年前なのか)の『新幹線大爆破』はもちろん観ているが、てっきり本作はその半世紀後のリメイク、リブートと思っていたら、まさかその「続編」とは思わなかった。正直元のほうのを観たのは結構前で、忘れちゃったところも多々あるので、本作を観だしてちょっと焦ったけど、許容範囲内だった。

新幹線の速度が100km/hを下回ると爆発してしまうという『スピード』の元ネタとなった設定は同じで、手に汗握るシーンも本作にはあるが、スリラーよりも関係者の職業人としての協力に重点が置かれている。『シン・ゴジラ』にも共通するそのあたりは、両方の監督である樋口真嗣の気質だったのだなと今更思った。しかも、本作はより現場寄りであり、誰か一人にヒロイズムを託すことはしない。

観客も尾野真千子演じる議員、要潤演じる YouTuber、それぞれ良かったのだけど、正直、犯人役もその動機も、最終的な解決の仕方も出来のよくないファンタジーだよなと思ってしまう。が、森達也演じる彼女の抑圧的な父親が凄まじくクソな役を好演していて救われている。

あと、草彅剛演じる車掌の所作にちょっとそれは……と思ったシーンがあるのだけど、それを書くと過大に批判しているととられてしまいそうなので、ここには書かないでおく。


箱男公式サイトNetflix

原作は、大学一年生の夏に安部公房で初めて読んだ小説じゃないかな。

その映画化にはもちろん興味があったのだが、昨年の公開時は都合がつかず観に行けなかった。Netflix に入ったので喜んで観てみた。

安部公房石井岳龍はイメージが結びつかないが、あの実験的な小説をどのように映像化するのかと思ったら、アクション寄りの作りをかなり笑いながら観た。こういうことを書くと怒られるだろうが、本作は安部ねり氏が存命時には実現しなかった映画化だろう。

しかし、観ているうちに、これはこれで原作に忠実なのではないかと思えてくる。白本彩奈が良かった。

着地点が少しうまくいかなかった感触があるが、映画としては楽しめた。

マイヤーウィッツ家の人々 (改訂版) (Netflix

恥ずかしい話だが、本作について「改訂版」でない『マイヤーウィッツ家の人々』という映画があるのかなと勘違いしていた。ノア・バームバック作品なのに観るのが遅れたのは、そのせいもある。

ニューヨークを舞台にしたウディ・アレンでも撮りそうな映画に思えるが、気難しい芸術家の父親の造形がノア・バームバックらしいと言えるのかな。

正直、その父親役のダスティン・ホフマンは10年以上まともに出演映画を観てなくて(その理由の一端については書きませんが)、そうした意味で本作は彼の晩年の主要出演作になろう。あと本作を観ても、ベン・スティラーは役者として過小評価されていると思ったりした。彼とアダム・サンドラーが親との関係、そして成功に関する価値観を巡ってぶつかり合い、どつき合う場面はやはり良かった。

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