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グランツーリスモ

実はワタシは、ゲームの『グランツーリスモ』をプレイしたことがなく、カーレースにも特段の興味がない人間だったりする。

だから、映画館で本作の予告編を何度か見ても、これは自分が行く映画ではないなと思っていた。そんなワタシが、なんで公開初日に観に行ったかというと、本作の監督が『第9地区』のニール・ブロムカンプだからだ。

もはや10年以上前になるが、『第9地区』は鮮烈な作品だった。ニール・ブロムカンプはこれで一躍注目株になったが、その後は少し煮え切らない感じが続いている。ワタシは『チャッピー』が好きだが、批評家の評価は低かったし、正直彼はもうメジャーで映画は撮れないのではないかとすら思った。

そうした意味で本作は、雇われ監督に違いないが、彼のメジャー復帰作ともいえる。彼の悪趣味さが好きなワタシは、死に水をとるつもりで観に行ったわけである(失礼です)。

本作は、『グランツーリスモ』のプレイヤーがプロのレーシングドライバーになったという驚きの実話(上記の通り、ゲームにもカーレースにも疎いため、知りませんでした)に基づくもので、ゲームとエンターテイメント分野の両方の主要プレイヤーたるソニーの企画として手堅く作られている。

本作の上映時間は134分と長めだが、GT アカデミーで誰が選ばれるかという場面で、いかにもらしい役のデヴィッド・ハーバーと、映画ではお久しぶりな印象があるオーランド・ブルームの意見が対立した後、何のフックもなく決定が伝えられるところなど、何か足らないんじゃないかと思うところがあった。

それでも、凄腕ゲーマーを集めて本当にプロのレーサーにしようという企画自体、フィクションめいていて映画化にピッタリの話だし、カーレースの興奮がしっかり描かれている。デヴィッド・ハーバー演じるトレーナーが好きなのがブラック・サバスなのに対し、主人公の勝負曲がケニー・Gとエンヤというのがなんともいい味出しているのだが、それがクライマックスでもきいてくる。

本作にニール・ブロムカンプらしい悪趣味さを期待するのは間違っているのだが、カーレース中の車が分解して主人公の自宅に戻り、そしてまたカーレースに戻る場面の動きの気持ち悪さに少しそれが感じられた。

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