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エクソシスト ディレクターズカット版

DVDジャケット

こっちは大分前に買っていたもの。

この映画が本当に好きなのだ。ワタシはこの映画を観ながら育ったという戦慄の過去を持つ人間なのだが、劇場で観るのが叶わなかったディレクターズカットの DVD が安売りしていたので、早速購入させてもらった。やはり観ていて飽きない。これは単なるオカルト映画という枠内に留まらない、普遍的な名作である。

今回、監督のウィリアム・フリードキンによる音声解説を聞くと、昔書いた文章における当方の解釈(というか推測)が悉く間違っているのが分かって苦笑してしまったが、それでも当然ながら作品についての評価は変わらない。これについて言う人があまりいないので特に書いておくと、冒頭のイラクの場面の、大げさな自然描写抜きで見せる美しさは見事。

さて、本ディスクはディレクターズカットなので、オリジナル版との違いについて書かなければならないが、はっきりいってオリジナル版の方が作品的には上である。話題になったスパイダーウォークは原作にもあり、原作者・脚本のウィリアム・ブラッディが望んだにも関わらずフリードキンが却下したものだが、その判断は正しかった。これは約30年前の公開当時の判断としては、という意味である。もしこの場面を入れていたら、確かにショック度が上がったのは間違いないが、その分映画としてのバランスが崩れただろう。

あとサブリミナル効果(?)に類する場面が増えているのも、パズルを見せられているようでちょっと鼻白む。ちなみにフリードキンによる音声解説では、サブリミナル関係や首が回ってうひゃーなどの特殊効果については、一切言及がなく、一種の意地を感じたが、これだけやってるんだから少しは語れや(笑)。

そしてエンディング、これじゃダメだ。やはりあの冷え冷えとしたラストこそあの映画には相応しい。しかし、フリードキンはキンダーマン警部を演じたリー・J・コッブが特に気に入っていたようで、こういうエンディングにしたかった気持ちも分かるが。

ところで、ワタシはむかーしテレビか何かで、ビデオ版にも今回の DVD にも収録されていない、悪魔(リンダ・ブレア)とメリン神父の対決場面を見た記憶があるんだけど、あれどこかで見られないのかな。それともこの記憶自体妄想なのかな。

やはりこの映画で好きなのは、ジェイソン・ミラー演じるカラス神父なんだが、この信仰を失いかけている神父を、フリードキンが意識的に上昇する構図で描いていたことを語るのを聞けたのはよかった(その意図は改めて書くまでもないだろう)。

あとこれは調べ物をしていて気付いたのだが、メリン神父役のマックス・フォン・シドーは、この映画の当時40台だったってのは信じられんなぁ。

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