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インセプション

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期待値をかなりあげて観に行ったが、文句なしの大傑作だった。

当代最高の映像作家の一人となったクリストファー・ノーランだが、バットマン映画だったりリメイクだったり原作つきでなしに映画をを撮るのは『メメント』以来ではないか。ご存知の通り、『メメント』は時系列を逆にしたトリッキーな作品で、本作も単純な映画ではないが、彼が初めて映画により一つの世界を作り上げることをもくろみ、そしてそれに成功している。本作は映像とストーリーが噛み合った総合性をもつ映画である。

本作の夢(潜在意識)と現実というテーマは、スーパーヒーローとその力の行使と正義というテーマを問うた『ダークナイト』に比べると切実さにおいて劣るが、本作のほうが普遍的な広がりがあって、本作も『ダークナイト』同様におよそ二時間半の上映時間と長いが、夢の多層構造という本作の設定を魅力的に観客に知らしめる前半から、観客を混乱させることなく物語を展開させる手腕がうまくてダレる場面は皆無。

夢と現実、果たして自分が見る世界は現実なのか夢なのか、むしろ夢こそが重要であり、我々は仕方なく現実に戻っているだけではないか……こう書くと夢と現実が混在になったような映画を想像されるかもしれないが、ノーランは荘子的テーマを踏まえながらも、安易に観客を混乱させてだまくらかすようなことはしない緻密さを選んでいる。多層構造からなる夢という設定と、主人公の妻の話を重ね、その真相が段階的に解き明かされるところなどよくできている。

本作のハイライトとなるミッションは、まさに夢の多層構造という本作の世界観のみせどころでエキサイティングなのだが、ここまできっちりやっちゃうと謎がないなとちょっと不満にもった……のだが、最後にちゃんと含みを持たせていて、いやはや脱帽。

日本人の観客としては、どうしても渡辺謙の扱いが気になるところで、プロモーションでは準主役のような扱いだが、『バットマン ビギンズ』みたいなことになってたらどうしようと少し怖かったが、これは重要な役ですな。渡辺謙がプレミアで「このチームでまたここに戻って来たい」と言っていたのがよく分かる出演者のまとまりがある。あと、ワタシが好きなトム・べレンジャーが出ていて、彼もこういう役をやるようになったのかと感慨深かった。

ワタシはほぼ満席のレイトショーで観たが、エンドロールとともに席を立つ客が多かった。それは珍しいことではないのだけど、本作の場合、エンドロールの最後にニヤリとさせられる効果があるので、席を立たずにゆっくり余韻を楽しむのがよいと思う。

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