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ビフォア・ミッドナイト

シリーズ三作目の本作を観て気付いたのだが、主人公のカップルはワタシとだいたい同じ年の設定なんだな。二人ともしっかり歳をとった……。

ワタシはこのシリーズをリアルタイムで追いかけてきたわけではなく、4年近く前に『ビフォア サンライズ 恋人までの距離』を初めてレンタルして観てみた。が、正直そこまで良い映画とは思わなかった。折角だからと続けて『ビフォア・サンセット』も観たのだが、こちらのほうが抜群に良かった。

どちらもアメリカ人の男性とフランス人の女性がただ街を歩き、語り合うだけとも言える映画なのだが、シチュエーションのロマンチックさと初々しさに頼った『ビフォア サンライズ』よりも、大人の余裕もズルさもあわせもった『ビフォア・サンセット』のほうが遥かになじめたのだ。

まさかの三作目(確かに9年毎に公開されてる!)の話を聞いたときは期待するとともにあの二人のストーリーの先をつなげることは可能なのかとも訝しくも思ったものだが、蓋を開けたら『ビフォア・サンセット』よりもさらによくなっていて素晴らしかった。続編が作られるたびに出来がよくなっていくシリーズなんて他にあるだろうか?(『トイストーリー』シリーズくらい?)

本作はイーサン・ホークの息子や、彼とジュリー・デルピーとの間にできた双子の娘さんといった家族をはじめ登場人物も何人かいるのだけど、基本的には主人公二人の会話をとらえた長回しを基本とする構成にかわりはない。

旅先での美女との出会いというロマンがあった第一作、運命の女性との再会というドラマがあった第二作に続き、本作はそんな運命の人と結ばれ、家族を作った後の現実が描かれている。

もちろんイーサン・ホークはちょっとした人気作家で、ジュリー・デルピーも忙しく立ち働いており、ギリシャに6週間のバカンスに来れるくらいの余裕がある身分である。しかし、二人が本作で交わす会話は、お互い歳をとり、もはやロマンチックな偶然になど頼りようがない生活を踏まえたものである。これが実にいいのだ。

二人がお互いに対して思う不満は珍しいものではない。男性の隠れマッチョ性であったり、妻は夫のためにキャリアを犠牲にしないといけないのか、離婚した後残された子供のために親は何をしてやれるのか――それらの問題は、どうしてパートナーを変えようとするのか、パートナーのために変わらないといけないのか、という話にいきつくように思う。

飽くまで『ビフォア サンライズ』が大好きな人が求める映画ではないのかもしれない。しかし、本作は『ビフォア サンライズ』や『ビフォア・サンセット』よりも深められた男女関係が描かれた、そして過去二作にあったテンポの良さとケミストリーがやはり存在する映画である。

新年一発目からとても良い映画を観れてよかった。

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