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マイクロソフトのEdgeがChromiumベースになることによりウェブから多様性が失われることを懸念するのでモジラ財団に寄付した

先週、マイクロソフトIE の後継として(ゴリ)押してきたブラウザ Edge が Chromium ベースになることが話題になった。

Chromiumオープンソースであることを考えると、これをオープンソースの勝利ととらえることもできるが、それよりも Google Chrome と合わせて、ブラウザ市場における Chromium ベースの支配が強まることになる。これについては、大喜びの声と多様性が失われるウェブへの懸念の両方があったが、個人的にはただただしさんと同意見である。

ブラウザの一極支配の問題というと、ワタシは jwz の文章「ネットスケープと aol/time-warner, パート2.」を思い出す。かなり長くなるが、以下引用させてもらう。

もしネットスケープ (または AOL、またはだれでも) が人気あるフリーのブラウザ製品を持っていたら、その製品はその企業にとってすさまじい価値を持っている。そしてそれは別に、人がデフォルトのホームページを変えられないほどグータラだなんてことのせいじゃない

 価値は、現実世界の多くの人がそのブラウザを使っているということで、これはつまりマイクロソフトが、相互運用性のメリットを考えてオープン規格にしたがわざるを得ないというところにある。

 要するにこういう仕組みだ。もしウェブサイトを運用している人が、顧客の70%があるブラウザを使って、30%が別のブラウザを使うと知っていたとしよう。この二つの競合の間の共通部分が標準規格になる (デファクトだろうとデジュレだろうとどうでもいいよ)。

 でももしウェブサイトを運営している人が、顧客の 99.9% が一つのブラウザしか使っていないと思ったら、そのサイトが別のものできちんと動くか確かめたりはしないだろう。そしてマイクロソフトが新しいおもちゃをくれたら、それで何かクローズドで独占的なものに囲い込まれているなんてことは気がつきさえしないだろう。

 この最終的な結果は、マイクロソフトが単独で標準規格を決めて、そしてすべての領域でますます競合しにくくなるということだ。

 これは AOL (ブラウザメーカーとしての)だけに関係することじゃなくて、マイクロソフトと競合することになるすべての人に関係あることだ(ということは成功しようと思うすべての人にってことだ。マイクロソフトは自分があらゆるビジネスに参入するつもりだから)。

 もしマイクロソフトが標準規格をコントロールするなら、気まぐれで変えられるし、これは競合相手にとってすさまじく強力な武器になる。

 もちろん AOL は、オープン規格の仕様と準拠についてはマイクロソフト並にひどい実績しか持っていない。だから、ぼくたちの多くにとっては実に自明なことを連中が理解できるとは思えない。つまり、オープン規格がインターネットの機能にとって
きわめて重要だってことを。これらすべてをそもそもに可能にしたのは、オープン規格なんだ。

netscape and aol/time-warner, part two-j

この文章が書かれて20年足らずで、そこで警戒の対象だったマイクロソフトオープンソースの軍門に下るなんて当時はまったく想像すらできないというか歴史の皮肉を感じるが、当時とは違った形でブラウザ分野における独占の問題がまた頭をもたげているわけだ。

これはワタシ自身にとっても切実な問題である。というのも、ワタシは長年の Firefox ユーザだからだ。ひとつお断りしておくと、ワタシが Firefox を使い続けているのは、単にワタシが怠惰で病的なものぐさだからで、Firefox が他ブラウザより優れているだからというのはまったくない。

今では Firefox もすっかり斜陽だが、思えば jwz がこの文章を発表した当時、Mozilla の状況は現在よりもはるかに絶望的だった。それをここまで押し戻したのである。モジラ財団の奮起を期待して、少額ながら寄付をさせてもらった。

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