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Netflixの「KonMari ~人生がときめく片づけの魔法~」で一番グッときたのはこんまりさんの通訳の飯田まりえさんだったという話

2019年に入って世界で話題の「KonMari ~人生がときめく片づけの魔法~」、ワタシは2話見て番組にそこまでときめきは感じなかったのだが、それはともかく以下のような感想をツイートした。

そんな意見はワタシだけかと思っていたらそうではないようで、早速通訳の方を取材した記事が出ていた。これが面白かったので、『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』の宣伝という趣旨とは関係なく、ブログを更新させてもらおう!

近藤麻理恵さんの通訳をしているのは Marie Iida(飯田まりえ)さんという方なのね。彼女はもちろん通訳者、翻訳者なのだが、脚本や映画評やヤングアダルト小説の書き手でもあるとな。

記事の後半は、飯田まりえさんへのインタビューなのだが、質問も基本的ながら日本のメディアもこれくらいの質問はしてほしいというエッセンシャルなものだったので、受け答えをごく簡単にまとめておく。

今回の番組の前に二週間リサーチをやったそうですが、近藤麻理恵のためにどんな準備をしました?
彼女の本を全部読み、彼女のインタビューをたくさん読み、彼女の話し方やスタイルを感じ取れるよう彼女のレクチャー動画も調査した、という当たり前の答えだが、そこでこんまりの本の英訳者 Cathy Hirano の名前をちゃんと挙げてるのがえらい
番組で持ち歩いているノートには何を書いてるんですか?
もちろんキーワードをメモしているのだが、徐々にノートが安全毛布(security blanket)というか、まさに幸運のお守り(good luck charm)みたいになったと言う言葉が印象的
あなたはこんまりの言葉を忠実に翻訳してますか? それとも一部の視聴者が指摘するように、いくらか不機嫌な(snarky)発言をソフトにしてるのか?
こんまり(の発言)は snarky ではない、と何度も否定。こんまりはクライアントにもその持ち物にもリスペクトを払っているし、彼女はとても楽しい人だ、とフォロー
あなたとこんまりの間にある符合は神秘的だ。名前が同じ「まりえ」というところが特に。番組のプロデューサーは、あなたの服装について指示しました? こんまりと同じような髪型にしろとか?
夫(コミックライターで映画監督の Dennis Liu)も、二人が同じまりえという名前で同じ背丈なのが面白いっていつも言うんですよ! とのこと。番組で名乗るときは、相手を混乱させないよう「Iida」と名乗るし、不必要に出しゃばらないようにしている、とプロらしい発言
現在のこんまりとの関係をどう思ってます?
番組の撮影中、お互い励まし合っていた。移動の車を降り、相手の家族の家に向かう前、お互いに「よろしくお願いします」と必ず言い合っていた話など、こんまりの礼儀正しさを称えている
こんまりと彼女の哲学について、もっとも大きく誤解されてることって何でしょう? こんまりは本当に我々に本を捨てろと言ってるのでしょうか?
これは一部で批判があった、こんまりの「本は30冊以内に収めるのが理想」という主張についてだが、飯田さんはすかさずそれを否定し、彼女自身読書が好きだし、それは自分にとって重要なことをこんまりに話すと、「それに愛情があるのなら、家には確信を持って愛しているものを置いておくべきです」と言われた話をしてフォロー
あなたは自分の家でこんまりメソッドを実践してます?
いつもきちんと整理してますが、箪笥の中を見たら、衣服を彼女にメソッドに従って畳んでるのが分かりますよ
片付け以外で、近藤麻理恵から学んだ一番重要なことって何でしょう?
自分の背が低いことが、アメリカで仕事をする上で不利益だと思ってきたが、彼女の自身への自信と正直さには勇気づけられる。日本とアメリカの両方で暮らした経験から、人々の違いや翻訳できないものに目が行きがちだが、麻理恵がいろんな家族や多様な製作クルーとやりとりするのを見て、いかに彼女が世界中で共通するものに集中しているか理解する助けになった

通訳者としてのプロ意識を感じさせながら、仕事相手の近藤麻理恵に敬意を払い、しっかり立てているところに、さらに飯田まりえさんに好感を持ったね!

あの番組を見てると分かるのだが、相手の家族もこんまりだけでなく通訳の飯田まりえさんを温かく迎えリスペクトしているのが分かる。それは彼女の仕事の確かさがあってのことだろう。

Netflix の番組の世界的反響を受けていろいろ文章が書かれているが、個人的には渡辺由佳里さんの文章がもっとも網羅的だと思う。以下のくだりも飯田まりえさんの発言と重なるところがある。

近藤が「英語がうまくなる努力をしていない」とは言わない。それどころか、彼女の発音を聴くと、努力を積み重ねていることがわかる。近藤がことに優れているのは、「英語が完璧ではない」ということで臆病になったり、卑下したりせず、「片付けのプロ」としての自分の価値をしっかりと見極めたうえで、上から目線でもなく、同じ人間としてアメリカ人のクライアントと感情レベルで繋がっているところだ。

賛否両論の中でも「こんまりの片づけ」が世界中で大ブレイクする理由【連載】幻想と創造の大国、アメリカ(10)|FINDERS

人生がときめく片づけの魔法

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