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ルー・リードが(なぜか少し上機嫌に)ジャーナリストを「最底辺の生き物」と断言する恐怖のインタビュー動画

faroutmagazine.co.uk

この Far Out Magazine は、ファンがいるのかルー・リードのちょっと面白い話や過去映像をよく引っ張り出してくるのだが、これはケッサクだった。

彼のジャーナリストに対する当たりの強さは有名で、血祭りにされた人も数多い。

ルーの「おい、ちゃんと注意して聞けよ!」という威圧に満ちた第一声で始まる2000年に行われたこのテレビインタビューも、最高度のホラーインタビューである。が、このインタビューが面白いのは、ルー自身が機嫌を害することなく状況を楽しんでいるところである。

この動画、実際のルー・リードのインタビュー映像と、スウェーデン人インタビュアーの回想が交互に入るのだが、インタビュアーがひきつった顔でまず言うのが「このインタビュー映像を見直せるまで何年もかかりました」というのに苦笑い。もはや PTSD の域だ。

ぼくは極度に緊張していました。脚が震えていました。吐きそうでした。

実はこのインタビュー、インタビュアーがルー・リードのことを何も知らない22歳の若造だったのだ。

有名人にホテルの部屋でインタビューするのは、このときが初めてだったんです。

ルーも、当時関わっていたロバート・ウィルソンのミュージカル「タイムロッカー」の話をして、「ロバート・ウィルソン知ってるよな?」と問いかけ、「いえ、知りません」の即答に少し「えっ?」という顔になってるのがおかしい。

最悪でした。彼の質問への答えはとても短くて、15個くらい質問を用意していったんですが、すぐに尽きちゃったんです。彼の質問への答え方はまるで感嘆符でした。

ルー・リードお得意の、質問に対して鉄槌をくだすような答え方が炸裂してたわけだ。

たぶん彼も、よくいる音楽ジャーナリストが来ると予想してたと思うんですよ。ルー・リードのことならなんでも知ってるみたいな。しかし、現実は彼のことを何も知らない22歳の男が、目の前で恐怖に震えているわけです。

当然ながらインタビューは終始かみあわないのだが、この日はルー親父の機嫌がよかったのか、彼なりの辛辣なユーモアをまじえながら(でも、インタビュアーにはほとんど通じていない)その状況を楽しんでいる気配がある。

突然、彼の方がぼくに質問を始めたんです! ぼくの英語はあまり達者じゃありませんし、こっちは用意していった質問で手一杯でした。でも、彼は気ままに話し出すんです!

インタビュアーを見切ると彼の方から質問を繰り出す、というのも彼らしい血祭りの流儀である。そして、目の前の恐怖に震える若造が本当にジャーナリストとして未経験なのを聞き出すのである。

ぼくがその時願ったのは……このインタビューが終わってくれということでした。ジャーナリストなら、ルー・リードに半時間でもインタビューしたいと思うものでしょうが、あの時のぼくには実に時間が長く、何時間にも感じました。まるで時が止まってしまったかのような。

インタビューのクライマックスで、ルー・リードはインタビュアーの目をじーっと見据えたまま、「俺はジャーナリストが好きじゃない。軽蔑してるよ。とてもむかつく存在だ。キミは例外だが。キミは、例外だ。主にイギリス人。あいつらは豚だ」と言葉のハンマーを振り下ろす。そして、その後のやり取りの中で、この動画のタイトルにもなっている「最底辺の生き物」とジャーナリストを呼んでいる。ルー・リード、ここにあり。

15分くらいして、彼はぼくのことを好きになり始めたんじゃないかと思います。でも、その頃にはぼくは完全にズタボロ状態で、それに反応できなくなってました。

早くインタビューを終わらせたくて、もう質問はありませんと言うと、ルー・リードは呆れた感じで笑い出している。前に引用した言葉でも「キミは例外だ」と言っているように(もちろん皮肉込みだろうが)、インタビューとしてのひどさにもかかわらず、この若者のことを結構気に入っていたようだ。

しまいには、インタビューを終わらせたくて、ぼくはただ「はい、はい」と言い続けました。とにかくその場を立ち去りたかったんです。

このインタビュアーの方、回想しながらも表情がとにかく辛そうで、失礼ながらそれもまたいとおかし。

ルー・リードというと『New York』のデラックスエディションが来月出る。ワタシの人生航路にすら影響を与えたアルバムなので、思わず買おうかと前のめりになったが、LP は再生環境を持たないため、場所の無駄だよなと思い直した。CD+DVD だけだったら買っただろうな。

New York

New York

  • アーティスト:Lou Reed
  • 発売日: 2020/09/25
  • メディア: CD

NEW YORK (デラックス・エディション)

NEW YORK (デラックス・エディション)

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